since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2021年12月21日火曜日

映画秘宝2月号に寄稿

発売中の「映画秘宝」2月号では「タレントボイスワーク BEST SELECTION」と称して、とかく批判されがちな「タレント吹替」の功罪の「功」の部分にあえて注目したページを組んでいます。とり・みきは「タレント吹替の歴史」みたいな総論的な一文を書いております。

そういえば、10日ほど前にザ・モンキーズのマイク・ネスミスの訃報が入ってきました。60年代に日本でもTBS系で放映されたTVシリーズでは長沢純さんが声を担当されていました(デイビー:高橋元太郎/ミッキー:鈴木ヤスシ/マイク:長沢純/ピーター:太田博之/ナレーション:大橋巨泉)

モンキーズはメディアミックス的に作られたバンド(ただし名だたるライティングチームとレッキング・クルーの演奏による曲の音楽性は高かった)ということで、吹替もそれに応じて音楽グループ出身のメンツで構成されました(太田さんは子役出身だけど)。高橋元太郎さんがコーラスグループの出身って「水戸黄門」とかで知った人はピンと来ないかもしれませんね。人気のあったデイビー担当というのも。

何でもアリのイージーゴーイングな元ドラマの雰囲気に、吹替もそれぞれの個性がよく合っていました。これは原典を踏まえて決定されたタレント吹替の成功例でしょう。タレント吹替だからといってすべてが悪いわけではない。本誌では触れられなかったのでここに記しておきたいと思います。

2021年12月20日月曜日

フリースタイル 50/THE BEST MANGA 2022 このマンガを読め!

「フリースタイル 50/THE BEST MANGA 2022 このマンガを読め!」が発売されました。


例によってベストテンとは無関係にいつものように『Anywhere But Here/遠くへいきたい』を2篇描いております。どちらも最初の2コマだけご紹介。

2021年12月15日水曜日

2021年12月11日土曜日

プリニウス 第79話「リウィウス」がくらげバンチで公開

ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス 』第79話「リウィウス」くらげバンチにて無料公開になりました。

タラコネンシス総督の任を終えたプリニウスはエウクレスを連れてローマに戻ってきますが、自らの死期を感じつつある皇帝ウェスパシアヌスは、参内したプリニウスにミセネムのローマ艦隊の指揮を執るよう命じます。

プリニウスはウェスパシアヌスの余命をさとり、アシスタント総動員態勢で『博物誌』の原稿UPに取りかかります。シュラバです。

2021年12月8日水曜日

12/8発売『レイジング・ケイン』の吹替解説を担当


是空/TCEより12/8に発売される『レイジング・ケイン』ブルーレイ、とり・みきが吹替解説を書いております。今回は俳優と声優の違いは?……というようなことがサブテーマです。

ジョン・リスゴー/樋浦勉 ロリータ・ダヴィドヴィッチ/小山茉美 スティーヴン・バウアー/大塚明夫 フランシス・スターンハーゲン/京田尚子 池田勝/信沢三恵子/辻村真人

2021年12月6日月曜日

堀内賢雄さんと


お仕事でお目にかかるときはあまりこういう写真は撮らないんですけど、今夜は奇縁な場所でしたので……(お写真掲載はご許可済み)

2021年12月3日金曜日

未来人

本日はテアトル新宿で行われている角川映画祭の『時をかける少女』の回に行って来ました。既に何十回観たかわからない映画ですが、久々にスクリーンで観てやっぱり名作だと思いました。初見の時はそんなことはわからないのですが、実はセリフのほぼすべてが他の何らかの伏線になっている入れ篭のような映画。タイムパラドックス的な仕掛けであったり、それぞれの交錯した想いの裏返しで出た言葉であったり。原田知世さんが魅力的なことに加え、そういう仕掛けの確認のために何度も見るはめになっているわけです。


高柳良一さんと樋口尚文さんのトークも面白かった。『時かけ』よりその前段の『ねらわれた学園』の話がはずんで『時かけ』まで行き着かないうちに終わったという感じでしたが、初めて知ることも多かった。終演後、コロナ禍で2年ほどご無沙汰だった高柳君とも久しぶりに話せてよかったです。ここでご紹介した、モデラーでもある手塚昌明監督に(まだ監督デビュー前に)作っていただいた深町君のタイム・リープ装置のレプリカを、ぜひ当人にはめてもらおうと思って持参したのですが、それもかないました。

2021年11月25日木曜日

11/25日経夕刊「こころの玉手箱」第4回 原田知世さんが映画で使ったカップ

「『またかよ』とお思いになるかもしれないが、ここは日本の経済を左右する公器の新聞だ。名前にナカグロ『・』があるような怪しい人物の来歴をそうそう購読者が知っているとも思えないのであらためて書くと、私はかれこれ40年近く原田知世さんのファンをやっている」

日経夕刊「こころの玉手箱」第4回 原田知世さんが映画で使ったカップ(※無料登録でも読めます)。今回で「こころの玉手箱」とり・みき担当回は終了です。


追記:
4個の紹介物件は、時系列順にもなっていますが、内容的にもそれぞれ関係性を持って繋がっています。①〜④と通しでお読みいただけるとそれがわかると思います。『時をかける少女』『天国にいちばん近い島』の装飾小道具担当の田中良直氏(故人)は『さよならジュピター』でも美術スタッフでした。自分はやくみつるさんじゃないので、ファンではあっても私物や撮影プロップのコレクターではないのですが、ティーカップをいただいたのはそういうご縁と経緯があったからでした。

おまけ:手塚昌明監督に以前作っていただいた深町君の腕時計型タイム・リープ装置(こちらはレプリカ)

2021年11月24日水曜日

11/24日経夕刊「こころの玉手箱」第3回 小松左京研究会の会報「臥猪庵通信」

「会合場所の喫茶店に到着すると、はたしてそこには多かれ少なかれ自分と似たようなタイプや境遇の暗い人材が集合していた」日本経済新聞夕刊「こころの玉手箱」第3回 小松左京研究会の会報「臥猪庵通信」

※例によって無料会員登録でも読めます。SFの始まりについては突っこまず広い心で読むように。

追記:本文にも書いてますが「臥猪庵通信」の編集人になったのは読みやすい文字とカットが描けたからです。さすがにもうガリ版ではなくコピーでしたが、ワープロはまだ普及しておらず手書きでした。会報ロゴのカットは進化して小松左京ライブラリのアイコンになっています。

個人的に想い入れがあるのはアシノコン(78年)で行われた、まだシナリオ初校も完成していない時点での『さよならジュピター』に関する座談会の採録で、話されているブレーンストーミングの内容も面白いんですが、対談や座談会の文字起こしの面白さとむずかしさをこれで学びました。

会員の一部はやがてその『さよならジュピター』のプリプロにかかわりましたが、その頃私は既にマンガ家デビューしており少し離れた場所からその様子を眺めていました(たまに事務所に遊びにいってご飯ご馳走になったり)。撮影中は一度だけスタジオ見学に行き、そのときの様子は『クルクルくりん』の1エピソードにしました。

『ジュピター』は先月ブルーレイが発売されていましたが、そういう意味で色々当時の複雑な想いが錯綜する作品です。


2021年11月23日火曜日

11/23日経夕刊「こころの玉手箱」第2回 『大洪水時代』

「当時の年少読者にはなかなか感情移入しづらい設定だった。だからつまらなかったかというとまったく逆で、ものすごく面白かったのである。理解するために、以後同じ本をむさぼるように何度も読み返した」日経夕刊「こころの玉手箱」第2回『大洪水時代』


追記:「60年代まではそういうビジネスモデルがまだ確立しておらず〜ハードカバーで冒頭には三色印刷だがカラーページもあった」ここちょっとはしょりすぎました。三色カラーありのハードカバーが主流だったのは60年代前半までで、後半は新書判コミックスがメインになりました。それでもまだ掲載誌とは別の出版社(虫プロ、秋田書店、朝日ソノラマ、若木書房、曙出版等々)から出るケースが多かった。

両作とも手塚治虫名物の見開きモブシーンの洗礼を受けました。ずっと眺めてても飽きなくてマンガ家になったら絶対描くものだと思いこんでました。


 でやっぱり描いた(『てりぶる少年団』より)

『プリニウス』でも俯瞰モブシーンは描いてますが、セリフや相互に絡む芝居がないのでとりあえず別扱いに(8巻54話「ドクニンジン」より)

2021年11月21日日曜日

11/21日経夕刊「こころの玉手箱」第1回 父が残した少年時代のノート

「最初に取りあげるのは、実は私自身もつい最近まで眼にしたことがなかった古い大学ノートの中身である」

日経夕刊「こころの玉手箱」本日から(明日の休日を除いて)4回連載です。※無料会員登録でも読めます。第1回は「父が残した少年時代のノート」


追記:取りあげた父親の自分史ノート(少年時代の自分の日記や、そのころ感銘を受けた作品の抜粋を後年まとめた物で「後年」がいつ頃かは定かでないが、仮名遣いやノートの古さからおそらく戦後まもない頃だと思われる)ですが、記事の写真では1ページしか紹介できなかったので、自筆の装画が添えられているページを中心に幾つか上げておきます。




小2の教室に貼られていたという童話に「軍国主義教育」と但し書きがあるのが興味深い。


記事本文にも書いたが、素材のサンプリングと羅列だけで、再録時点の述懐が一切記されていないのが面白いと思った。事実の記録・展示であって安易にその時点の気持ちや価値観でよいとか悪いとか振り返った感想は書きたくない、という想いなのか(もちろん抜粋や編集にある種の意図は出るだろうが)。だからこそ「軍国主義教育」という敢えて記したキャプションがちょっと目立ったわけですが。


巨大な自分展である庵野展を見た後なので、色々(とくに共通項を)考えました。

2021年11月8日月曜日

『あんどろトリオ』完全復刻版に寄稿しました

80年代、私と同時期に少年チャンピオンに連載されていた内山亜紀さんの『あんどろトリオ』完全復刻版が届きました。私も寄稿しています。厚い。縦に立つ。さらに帯の代わりにパンツだかオムツだかを履いている。


色々揉めてる界隈はこれを読んで腰を抜かすといいと思うよ。本文はもちろん「内山亜紀完全資料室」と稀見理都さんによる解説/概論も大力作です。11/25発売。

※本書は生産数限定、成年コミックです。

★総監修・稀見理都(『エロマンガ表現史』『エロマンガノゲンバ』)

★特別寄稿
千之ナイフ、きたがわ翔、みやすのんき、
とり・みき、会田誠、山本直樹

★インタビュー
手塚るみ子、愛☆まどんな

11/10発売『キンダガートン・コップ』『マネー・ピット』の吹替解説を担当

11/10発売の玄田哲章版(TBS版)/大塚明夫版(VHS版)両吹替版収録の『キンダガートン・コップ』、そして同じく11/10発売の大塚芳忠版(TBS版)/松本保典版(VHS版)両版収録の『マネー・ピット』に吹替解説を書きました。

今回TCE/是空で発売されるブルーレイでは、その作品の解説以外に、おおまかな日本の吹替史と、TV版とオフィシャル版吹替の違いなどについても語っています。といっても商品が違うので続き物にはできず、逆にダブった原稿内容にもできないのが難しいところですが、色々工夫しております。

(書いた物は商品でご確認いただくとして、以下抵触しない範囲で……)例えば同じTV吹替でも、初期と60年代半ば以降は違っていて、最初は吹替もTV局の直接制作で演出も局のディレクターがやっていました。やがて制作自体は音声制作会社に外注するようになりますが、局の意向は反映されその局ごとの「色」がありました。

かたやオフィシャル版も、最初のレンタルビデオ時代のVHS吹替版(字幕版とは別パッケージで出ていました)と、DVD時代の吹替と、現在の劇場日本語版や配信版とでは大きく変わってきています。いちばん違うのは予算なのですが、翻訳台本の言葉の制約の問題等もあります。

例えば、初期のソフト版では淫語や汚い言葉も、クローズドで対価金を払った視聴ということで原典のセリフに近い翻訳がされていました。『キンダガートン・コップ』のソフト版では子供達がその手のセリフを発するので成年の声優が使われていますが、TV版は言葉を無難な日本語に置き換えているので児童劇団の子役達が抜擢されています。

(↑原典も吹替だった可能性大)しかし、現在はTV版吹替がほぼなくなり、オフィシャル版をそのままTVのゴールデンタイムで流すようになったので、再び言葉の制約が地上波TV基準に戻ってしまっているのでした。

2021年11月7日日曜日

プリニウス第79話「リウィウス」

「新潮」12月号発売されました。ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第79話「リウィウス」。タラコネンシス総督の任を終えたプリニウスはエウクレスを連れてローマに戻ってきます。二人を待っていたのは化け猫級に長生きのガイアと......。

タラコネンシス駐在中も『博物誌』の筆記はたまりにたまり、清書作業を前にプリニウス家の引き籠もり書記アルテミオスは途方に暮れています。

宮廷に参内しウェスパシアヌスに謁見したプリニウスは、皇帝の命が短いことを察します。ウェスパシアヌスは彼に海軍提督という大役を引き受けてくれるよう頼みます。


2021年11月5日金曜日

2021年11月3日水曜日

2020 ヤマザキ秋のマリまつり- Live & Streaming -

 ヤマザキ秋のマリまつり- Live & Streaming -

期日:2020年11月3日(火祝) 開場 19:00/開演 19:30(※終了)

会場:東京・青山月見ル君想フ

料金:【会場観覧】¥3,800 +1D 【配信】¥2,000 & 投げ銭有り 

撮影:原田香

こういう時期にご来場いただいた皆さん、また配信視聴していただいた皆さん、ありがとうございました。なによりバンドメンバーが再び集まって音楽をやれる喜びをひしひしと感じました。その楽しさが少しでも皆さんに伝わっていたら幸いです。

※配信視聴期間は既に終了しておりますが、当日のダイジェスト映像はここに。

2021年10月27日水曜日

白土三平さん

白土三平さん、自分は住んでいた地域と時代ゆえに貸本は経験しておらず、いちばん最初に通しで読んだ作品は『風の石丸』の単行本(60年講談社刊)でした。のちに東映のTVアニメ「風のフジ丸」に『忍者旋風』とともに原作として使用されましたが、その放映以前です。

単行本もまだ持ってますが表紙が取れてしまっていて見つからず。これは中扉ですが、素晴らしいポージングです。右手→左足→赤布と、髪→左手→顔→右足でXのクロス、そこへ刀の横平行線、という大胆な構図がかっこよすぎます。これはつまり奥から手前への放射線にも重なっている。右足に関節がなくストレートなのにも惚れますね。中扉右ページに鉛筆で描いた当時の私の落描きが残ってましたのでついでに。忍者ブームのころでありました。

『風の石丸』の次に読んだのは『2年ね太郎』だったかな。これは青林堂の単行本で。

少年誌で育った世代なので『サスケ』『ワタリ』『カムイ外伝』には当然ハマりました。『忍者武芸帳』『カムイ伝』はまだ小学生にはむずかしく、そのかわりそれらの中間に位置する作品として「忍法秘話シリーズ」と呼ばれる読み切り作品群があり、これがとくに大好きでした。昔から短編志向というかサスケやワタリやカムイより好きだったかもしれない。それぞれで完結している短編が主人公を変え連綿と続く大きな物語になっている構成にも驚きました。

これも貸本版は知らなくて「少年」や「別冊少年サンデー」に掲載された加筆再録版で読んでました。後年小学館漫画文庫でまとめて出たときには小躍りしたものです。日本住血吸虫症もケシ栽培もサツマイモ伝播も(一部俗説も含め)みんな忍法秘話で学びました。今思えば危険なマンガだったんだなあ。

2021年10月13日水曜日

プリニウス第78話「ラス・メドゥラス」がくらげバンチで公開

ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』第78話「ラス・メドゥラス」がくらげバンチで無料公開になりました。最終巻収録の最初のエピソードになります。

四皇帝の争いが終わっていまはウェスパシアヌスが皇帝に就いています。トイレにも税をかけるなど財政再建に懸命ですが、そのいっぽうで巨大闘技場=現在のコロッセオを建設中。

ウェスパシアヌスとティトゥスが建設中のコロシウムと太陽神像(黄金宮のネロ像の流用)を眺めているのはフォロ・ロマーナにあったウェスパシアヌスのフォルム、通称「平和の神殿」です。ユダヤからの戦利品、そして黄金宮にあったネロの収集品などが飾られました。

火薬のなかった時代、ローマ人はダイナマイトの代わりに水圧で山崩しを行いました。ラス・メドゥラス金山の山崩しはプリニウスも『博物誌』に詳しく記述しています。

78話では古代ローマの経済も少し描いています。ローマとラス・メドゥラス双方に硬貨のシーンが出てきます。

2021年10月4日月曜日

フリースタイル49

フリースタイル49 発売されています。特集は「極私的アニメーションBEST10!」21名の選者によるアニメーション案内。

とり・みき「NOWHERE BUT HERE(遠くへいきたい)」もいつものように2篇掲載されています。

2021年9月16日木曜日

マルメロ

熊本県宇土(うと)市の小学校で「マルメロ栽培復活に挑戦」というネットニュース記事を見た。

『プリニウス』では第11巻75話「リウィア」に、このマルメロを登場させていたので、思わぬシンクロニシティに興味を引いた。マルメロは中央アジア原産だが、BC6世紀頃にはギリシア、BC2世紀頃にはローマに既に伝わっていたといわれている。

プリニウスはこの果実に並々ならぬこだわりがあるようで『博物誌』でもどの品種が生食可能かなど、やたらたくさん記述を残している。そのマルメロをうまくエピソードに使ったのはヤマザキさんのアイデアである。

さて、面白いのは、マルメロはやがてイベリア半島でも栽培され(マルメロはポルトガル語)中国経由で日本の長崎にも伝わり、ここから移植されて江戸前期には熊本=肥後の有明海沿岸で多く栽培されるようになる。その果肉を使って「かせいた」という献上菓子にもなるのだが、1792年の雲仙岳爆発にともなう山体崩壊による熊本側への津波被害、いわゆる「島原大変肥後迷惑」で肥後のマルメロ畑は壊滅してしまうのだ。この辺の経緯もプリニウスと因縁めいていて面白いと思ったのだった。

「かせいた」はその後カリンを使って作られるようになり、今も肥後銘菓の一つになっている。

2021年9月9日木曜日

飯田橋

神楽坂から神保町まで歩く途中に、ちょっと懐かしくなって通称がきデカビルの前を通る。

連載をもらったのは早かったが『るんるんカンパニー』の頃までは描き上げたらそのまま徹夜明けで自分で飯田橋まで出向いていって原稿を渡さなければいけなかった。担当さんは一応いたけど手塚番兼任で週5〜6日は手塚プロに泊まり込みで原稿待ちしていたので。

白いタイルは当時は大理石貼り(儲かったのですね)だったが、2000年頃に耐震問題が起きたとかで貼り替えたのだという。組合が強かったのか自分で運んでいた頃はよくストをやっていて、ガラスはアジビラだらけ、せっかく飯田橋まで来たのに「いま会社でうちあわせできないから」といわれたことも度々あった。

チャンピオンのやめ方が自分の若気の至りもあってスマートではなかったので、四半世紀くらい出禁(とこちらは受けとっていた)だったが、その後アニバーサリー企画の原稿依頼があり、読み切りマンガを本誌に載せてもらった。編集部員もすっかり新世代になったということだろう。そこからももう干支が一回りしてしまったが。

2021年9月7日火曜日

プリニウス第78話「ラス・メドゥラス」

「新潮」10月号発売されました。ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第78話「ラス・メドゥラス」。最終巻最初のエピソードになります。

短い在任の権力争いが終わっていまはウェスパシアヌスが皇帝に。トイレにも税をかけるなど財政再建に懸命ですがそのいっぽうで巨大闘技場を建設中。

それがネロの黄金宮の人工池の跡地に建てたコロシウムで、現在もローマを代表する観光名所となっています。同じくかつて黄金宮に立っていた金ピカのネロ像はヘリウス像に流用され(バラゴンか)この脇にしばらく立っていました。コロシウム(コロッセオ)という俗称も巨像=コロッススからきているという説が有力です。

いっぽうプリニウスはヒスパニア・タラコネンシス総督としてタイトルにあるラス・メドゥラス金山に来ています。ローマはここで人工的な土砂崩れを起こし金の採掘を行いました。

ヤングプリニウス編を挟んで、ヤマザキさんがプリニウス、エウクレスともうまい具合に第1話に繋がる感じで老けさせてくれています。