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2012年6月30日土曜日

僕らのええ音楽Vol.2

撮影:原田香
最近はイベント告知などはどうしてもTwitterFacebookがメインで、ブログは事後報告のような感じになってしまっているのですが、これもそう。

6月23日に、伊藤健太さんが主宰する「イトケン企画 / 僕らのええ音楽Vol.2」というイベントに、江口寿史さんとのフォークデュオ「白い原稿用紙」で出演しました。
場所は青山月見ル君想フグループ名はTwitterで募集したのですが、担当編集者がピリピリしております。投稿の中には「いしかわじゅん」なんてのもあった。大島渚か(詳しくはこのTogetterを)。

【出演】MAMALAID RAG / 寺前未来 / 白い原稿用紙(江口寿史&とり・みき) / フーレンズ(安齋肇Vo、古田たかしDs、坂本みつわB、小野瀬雅生G) 

【DJ木村豊(Central67)
【ぼくらのええ音楽BAND】Ds.サンコンJr. / Key.諸岡大也 / B.伊藤健太


江口さんには3月にとり・みち(=とり・みき+葛岡みち)として出演したライヴのゲストに出てもらったのですが、今回は二人で結成した新ユニットの初ステージということになります。

前半は二人きりでフォーク・パート。かなりタイトロープでしたが、観客の皆さんの暖かいご声援で乗り切りました。後半はリズム隊=サンコンさん諸岡さん・イトケンを入れてのバンド・パート。江口さんが高校の時に作ったオリジナル『モーニング・サービス』やゲントウキのカバー『夏の思い出』などを演奏しました。客席にはゲントウキの田中潤さんもいて、とくに伝えてはいなかったのでヒヤヒヤでした。でもどうやら喜んでいただけたようでホッ(モノマネ番組のように後ろから現れるのではないかとも思ったが)。

このイベント、僕らはともかく、ごらんの通りバックの方々も含めて他の出演者の方々がすごいメンツで、僕らも客として観ていてとても楽しいイベントでした。MAMALAID RAGは以前から大好きだったし、寺前未来さんは観て聴いてすぐファンになりました。DJを務めてくださった木村豊さんは椎名林檎さんやスピッツなどのアートワークを担当されている方ですが、なんと小学生のころから拙作を読んでくださっていたとのこと。イトケンに感謝です。フィナーレは想定外でしたが二人とも安齋さんに呼ばれ My Baby Baby Balla Ballaを一緒に歌った。

来てくれた皆さん、どうもありがとう。

文藝別冊『いしいひさいち 仁義なきお笑い』

6月16日、文藝別冊『いしいひさいち 仁義なきお笑い』発売。

自分も『ののちゃん』に登場する高校生歌姫ロカちゃんへのトリビュートマンガを描かせてもらっているのですが、いやすごいよコレ。痒い所に手が届きすぎる濃い内容。いしいさんがメディアに登場する機会はほとんどないので、買い逃すと絶対後悔しますよ。

全ての記事が面白いのですが、なんといっても、いしいさん自筆の22ページに及ぶ「でっちあげインタビュー」が素晴らしすぎます。

「そもそも4コマ漫画に起承転結というセオリーは存在しません」

ギャグ作家としてのシニカルな矜持と、しかし端々に本音も見え隠れして萌え死にそうです。全てのギャグマンガ家、マンガ家、研究者、マンガファン必読。

コミックビーム200号

コミックビーム200号おめでとうございます。6月12日発売のその記念すべき号に「僕らの漫画」の『Mighty Topio』とはまた違うアプローチで震災をテーマにしたマンガを描きました。タイトルは『ダブル・ストーリー』。最初は読み間違えてくれてもかまわない、というやや不親切なツクリになっております。

前身のアスキーコミック時代には『DAI-HONYA』を連載したりしていたのですが、実はビームには初登場。表紙は久々登場のビームの顔・桜玉吉さん。連載陣も他のゲストも相変わらずの充実ぶり。

映画秘宝と金環蝕

本日5月21日発売の映画秘宝7月号に青野武さんの追悼コラムを書いています。

字数が限られていたので、代表作や役を並べた感じになってしまいましたが、世代によってもいちばん印象に残っている役は違うでしょうね。

アニメでは僕はやっぱりヤマトの真田のイメージが強いのだけど、新作『2199』では大塚芳忠さんが真田の声を担当していて、青野さんのテイストを踏襲して全然違和感がなかったのに感心しました。

そういえば実写版ヤマトでも柳葉敏郎のコピーぶりが話題になっていたけど、これらはいずれも、いかに青野さん演ずる真田が確としたイメージでキャラを立たせていたか、という証しでもありますね。

さて今日は金環蝕でした。かなり雲が多かったが、かえってそれが幸いして、我が家からは肉眼でもこんな感じで見えた。真ん中は雲が晴れたときを狙って、買っておいたリッツ(あらかじめやや穴を大きく開けてあります)を使ってのピンホール。


ナイロン100℃「百年の秘密」

5月17日、下北沢本多劇場でナイロン100℃「百年の秘密」観劇。

圧倒的。ナイロンの芝居の中でもかなりの完成度なのではないか。一族三代にわたる衰亡記……となるとトーマス・マンや北杜夫を思い浮かべるが、ここで一族を見守る巨木も当然のように楡の樹であり、地母神たるその幹の造形は女陰を連想させる。演劇でなければ味わえない空間と時間の一瞬の転換の驚き。しかしその感動を成り立たせてるのは不自然に見えぬ役者さんの芝居。大人計画とはまた違った意味で個々のメンバーの成熟度に感心させられた。

石ノ森スピリッツ6と江口寿史[tone]

翌5月3日、またまた雨の中、阿佐ヶ谷ロフトA石ノ森スピリッツvol.6「スラップスティック」へ。大友さんも石ノ森さんも宮城県出身のマンガ家という共通点があります。写真は左から司会の山田ゴロさん、吾妻ひでおさん、僕、すがやみつるさん、アシスタントの渡邉沙紀さん。渡邊さんは新人の女子プロレスラー(ブリリアントバトルガールズVoLumeII)で、楽屋には井上貴子さんもお見えになっていました。

吾妻さんとすがやさんには何度もお会いしていますが、山田さんは今回初めて。山田さんとすがやさんは石森プロ出身で、真ん中の二人はそうではないのですが、吾妻さんも僕も石ノ森先生の影響は多大なものがあります(吾妻さんには石ノ森さん原作の『好き ! 好き !! 魔女先生』のコミカライズという仕事もあります)。

僕はといえば、ご多分に漏れず『マンガ家入門』を読んでマンガの描き方を覚えたので、遠いお師匠さんともいえる。左は小学生のときに買ったサンデー・コミックス『怪人同盟』に落書きしていた石森先生の自画像。このトークライヴ、僕は石森ギャグについて話すのだと思いこんでいたら、トークの大半はやはり吾妻さんへの質問に費やされました。もちろん、それもお客さんは聞きたかっただろうからかまわないのですが、せっかくなので、最後にちょっとしゃしゃり出てその辺を語り倒してきました。

当時の人気ギャグマンガ家といえば、誰を置いても赤塚不二夫。でも赤塚さんがメタ的なナンセンスギャグに走り出すのは、バカボンの中期以降のことで、もともとの赤塚さんの資質は人情喜劇的なところがありました。しかし同じ頃、石森章太郎が描いていた『テレビ小僧』〜『となりのたまげ太くん』〜『ボンボン』というギャグマンガは、アメリカのスラップスティック・コメディを彷彿とさせるドライでクールなバタ臭い作風で、たぶん赤塚さんほどの、また石森さんのストーリー物ほどの読者数は得られなかったと思いますが、僕は大好きでした。いま見るとテックス・アヴェリーなどのアニメの影響を強く感じます。その辺をプロジェクターで具体例を挙げながらいくつか解説(まったく、誰よりも石ノ森先生に精通している先輩お三方をさしおいて、厚かましいことです)。


トーク終了後、僕と吾妻さんはイースト・プレスの堅田さんと一緒に吉祥寺で行われている江口寿史さんのカラートーンを使った原画展へ移動。

江口さんの女の子の絵はやっぱりいいですね。会場には江口さんが選んだ80年代の日本のポップミュージックが流れていて、いい雰囲気。カラートーンは僕も使ってましたが、油性フェルトペンで描いた原画に貼ったら、しばらくして糊に黒インクが染みてきてえらい目にあったことが。右は吾妻さんが対抗意識を燃やして描いたJK。

お足もとの悪い中、イベントにお越しいただいた皆さん、どうもありがとうございました。

大友克洋GENGA展



時間的には前後しますが、書き落としていたので。

5月2日どしゃ降りの雨の中、秋葉原の3331 Arts Chiyodaで行われている大友克洋GENGA展に行ってきました。僕が初めて読んだ大友さんの作品は漫画アクション増刊の『犯す』でしたが、以来ずっとマンガ界のスーパースターです。色んな技法もマネした。単行本も最初の『ショート・ピース』以来、発売時に買っています。

『ショート・ピース』が出たのは僕のデビューの年だったので、収録作品の原画に接して、なんというか色々初心を思い出したり、さらに『AKIRA』の全原画展示に圧倒されたり……。ここはマンガ家が心を入れ替える場所だな、と思った。みんな『童夢』の壁で「ズン」写真を撮っていたけど、一人だったのでそれは断念。

おなかいっぱいになって、夕方からは国立競技場のACL/FC東京×ブリスベン戦へ。雨中観戦となったが勝ってよかった。