since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2017年7月29日土曜日

「この世界の片隅に」公式ファンブック

 
公式サイトで少し長めの文章を書いてしまったので、今回のファンブックではサイレントの9コママンガを描きました。最初と最後に登場するアノヒトの話です。

なお当ブログでは以下のエントリーで作品に触れています。

この世界の片隅に

2017年7月26日水曜日

さらば幽霊

本日は小松左京さんのご命日だが幽霊の日でもあるのだそう。幽霊で出てこんかな。太ってる幽霊というのは全然怖くなさそうだが。

写真は講談社文庫『さらば幽霊』カバーイラストは和田誠さん。かわいい幽霊だが中身はとても怖い。

小松さんは長編作家のイメージが強いけれども、個人的には短編の名手だと思っていて、これには北野勇作さんも賛同してくれている。とくにホラー風味の短編には名作が多く、これはもっとも好きな短編集かもしれない。珠玉の収録作品はもちろん、筒井康隆さんの解説がまた小松左京論としても筒井作品としてもすばらしい。

2017年7月18日火曜日

プリニウス第41回

「新潮45」8月号本日発売です。ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第41回。北アフリカの砂漠地帯を移動するプリ一行が見つけた物とは……

2017年7月17日月曜日

映画『メッセージ』

映画『メッセージ』は、映画の「編集」自体が物語の「時系列を超えた時間の俯瞰」というテーマを踏襲している点で大林版『時をかける少女』に構造が似ていると思った。もともと編集とは映画内世界を一次元超えた立場から時間を紡ぎ直す作業。テーマと作り方が一致すると映画は傑作になりますね。

2017年7月16日日曜日

『スティーブ・ジョブズ 』最終巻

相方の人の『スティーブ・ジョブズ 』、単行本にてあらためて読了。

「自分が嫌いな人」を主人公に据えられるかというのは、作家的力量の一つの目安であろうかと思う。ジョブズが好きになれず最初はこの企画に乗り気でなかった旨の話を、作者は複数のインタビューであきらかにしている。

そうした対象との距離感が、しかし、この作品では随所によい意味で現れている。ジョブズの嫌な面をも俯瞰で冷徹に描ききり、その描写は原作を遙かに凌いでいるといっていい。それでもなお人物的魅力が感じられる造型に成功しているのは、ひたすら感心。

病気に苦しむ最終巻はさすがに作者の感情移入も感じられるが、何年もつきあってきたのだから当然かもしれない、そして、そういう抑えた愛情があればこそ、このキャラのジョブズは魅力を持ち得たともいえ、ストイックさを微かに突き破るエモーションの露呈もマンガにはやはり大事だなあと思ったことであった。


ストイックさを突き破る微かなエモーションというのは、マンガのタイプは違うがゆうきまさみ『白暮のクロニクル』最終巻でも感じた。友人達はみんな長編をしっかりと終了させてえらい。

2017年7月15日土曜日

音頭

ご近所で音頭ってたDJマンイーターさんをちょっと覗いてきました。

不肖ナイアガラーの端くれですし、プレイリストに「音頭」の項目を作ってる程度には音頭好きの僕ですが、夕べはまだまだ果てしない音頭の世界があることを再認識させられました(ちなみに個人的に好きな音頭は『ズンパ音頭』です。一般的にはともかく音頭界ではわりとメジャーと思われます)。

唐草の師匠こと東京ぼん太さんの音頭もかかったのですが、僕が行ったからではなく偶然のシンクロニシティであったとのこと。

2017年7月14日金曜日

とりマリin チャイナタウン


横浜中華街映画祭とのコラボレーションライブイベント『ROMANTIC CHINATOWN 2017』が、9月15日(金)〜9月18日(月・祝)の予定で開催されることになりました。出演はカネコアヤノ、小川美潮 4to3Band、そして我々とりマリ&エゴサーチャーズ。

会場は中華料理店「同發」の新館。この建物はかつては新光映画劇場という映画館で、YMO結成直前の細野晴臣さんがライヴを行った場所としても知られています。

今回はドラムのサンコンJr.さんがお休みで、以下の5人による編成です。

ROMANTIC CHINATOWN 2017「とりマリ in 横浜中華街 同發新館」
日時:2017年9月18日(月・祝) 開場12:00、開演12:30
会場:同發新館
料金:前売3500円、当日4000円(別途ドリンク代が必要)
出演:とりマリ&エゴサーチャーズ=ヤマザキマリ(Vo) とり・みき(Gt) 葛岡みち(Key) 伊藤健太(Ba) 松井泉(Per)

2017年7月13日木曜日

奈良の春日野

フンフンフン。

というわけで奈良 パルミラシンポジウムに行ってまいりました。詳しくはヤマザキマリさんのブログを読んでいただくとして、まずは鹿と戯れる相方の人から。

ヤマザキマリのブログ:奈良で考えるシリアについてのあれこれ


オープニングの座談会の会場は公園内にある能舞台のホール。

既出の通り、ヤマザキさんが『美術館のパルミラ』で描いた、ISSに殺害された考古学者アスアドさんのご子息の出席はかなわなかったのですが(やはり警備上の色々な問題があるらしい)、ビデオメッセージで感謝の意を述べられていました。

オープニング・アクトで『棒縛(ぼうしばり)』を演じた大蔵流茂山千五郎家の方達は、今を去ること40年ほど前に小松左京さんにSFテイストの新作狂言を依頼、そうやって書き下ろされた『狐と宇宙人』の関東初演を、まだ学生だった僕は紀伊國屋ホールで観ています。「これはこのあたりに住まいいたす悪い宇宙人でござる」で始まりUFOの作り物なども登場する抱腹絶倒の演目で、悪い宇宙人は当然、当時1作目(後のエピソード4)が公開されたばかりの『スター・ウォーズ』に登場するダース・ベイダー風の衣装でありました。

さて、ヤマザキさんのブログでも触れられている、翌日のシリア人記者のインタビューには、僕も同席していました。

「あなたはマンガというツールで、シリア国内で起っている深刻で残酷な事態や政治情勢の真実を表現することが可能だと思っているのか」という、やや攻撃的な質問からインタビューは始まりました。日本のマンガ関係の取材では、なかなかこういう本質的で鋭い質問は出ません。

シリア人記者のインタビューは、あの地域の彼の世代がまだマンガという表現に懐疑的である上に、さらに内戦という現実がその背景にあるので、かつてシリアでの生活経験のあるヤマザキさんも、日本のマンガ文化の歴史についての説明から始めねばならず、苦労しているようでした。

同時に、マンガというメディアが早くから一般、かつ高学歴者や高年齢層まで浸透し、その文学性や芸術性(他分野におもねっているような言い方であまり好きではありませんが、とりあえず)も認められているという日本のマンガ文化の特殊性に、僕もマリさんもあらためて気づかされました。

近年、フランスなどでは評価がだいぶ変わってきましたが、まだまだ世界的にはマンガは子供や無教養な人が読むもので、小説や映画に比肩する思索や批評が表現されるような大人のメディアではない、という認識のほうが主流です。

しかし、インタビューが進むうち、実は記者氏の息子さんは現在マンガに夢中で、自分はそれが理解できない、という事実もわかってきました。彼にしてみれば公的なインタビューであると同時に、個人的な答を探る機会でもあったのかもしれません。

かなりの緊張を持って始まったインタビューでしたが、最後はマリさんが撮ったシリアの子供達の写真を媒介に話がはずむなど、よい雰囲気で取材は終わりました。

2017年7月4日火曜日

ドランク・モンキー 酔拳 フジ吹替版

イマジカBS特別企画として7/7(金)夜9時より初回放送の『ドランク・モンキー 酔拳 [吹替版]』副音声で、とり・みきが石丸博也さんにお話をうかがっております。

石丸さんは普段は寡黙な方で、吹替関係の取材もあまりお受けにならないんですが、このコメンタリー収録が二度目のインタビューとなりました(一度目は『ライジング・ドラゴン』公開時)。貴重な機会なのでお聴きのがしなく。

とくに今回の吹替版は、放送の機会の少ない最初のフジテレビ版を使っていますので、その意味でも貴重です。

※ふきカエル大作戦のサイトで少しだけ先行レポートが紹介されています。

2017年7月1日土曜日

パルミラ 奈良からのメッセージ

7/11より奈良で国際会議『シリア世界遺産の次世代への継承を目指して—パルミラ 奈良からのメッセージ』が開催されます。
 

ルーブル#9『美術館のパルミラ』でヤマザキさんが描いたISSに殺害された考古学者ハレド・アサド氏の息子さんも来日予定。マリさん参加のシンポジウムは6/23締切とありますがまだ席があり当日の聴講が可能だそうです(ただし先着順で定員に達するまで)。

相方の人は以前からシンクロニシティというか、引きの強い人ですが、今回の国際会議にアサド氏のご子息が呼ばれたのも『美術館のパルミラ』とは直接は関係してなかったのだと聞きました(運営側は作品を後から知った由)。

ただ、あの作品を描いたことでそういう機会を呼び寄せたのは間違いのないところでしょう。マンガに真摯な想いを込めることの意味を痛感。

7/5追記
残念ながら、考古学者アスアドさんのご子息ワリード・アスアド氏(シリア/フランス:パルミラ古物博物館局)、オマル・アスアド氏(同)の出国がかなわなくなったそうです。