since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2011年8月31日水曜日

奥様お尻をどうぞ/クレイジーハニー/超コンデンス

今月はお芝居もたくさん観に行きました。



まず下北沢本多劇場で『奥様お尻をどうぞ』。全編くだらないにもほどがあるギャグのオンパレード。その密度がすごい。詰め込めるだけ詰め込んだという感じ。そしてくだらないながらも2011年の夏に演じられる意味はブラックかつ不謹慎にしっかりと押さえてある。もう大好き。心底こんなマンガをこそ描きたい、と羨望。楽屋でご挨拶したKERAさんにギャグ密度のすごさに圧倒された旨を伝えると「途中でインフレ化して客も疲れてくるの判ってるんだけど、それでも詰め込まざるを得なかった。詰め込みたいから」と。関西方面の人は大阪公演、観に行くといいよ。



関係ないが、終演後寄ったお店で豊崎社長とお遇いしご挨拶する。豊崎さんも『奥尻』観劇の後だった。



次にPARCO劇場で劇団、本谷有希子『クレイジーハニー』を吉田戦車、山本直樹とともに観劇。3人ともけっこう初期から本谷さんの芝居は見ているのです。今回もじとじとと傷つけ合いつつ依存しあっている嫌な人間関係を突いてくる。長澤まさみのナマ足が眼福。吉本菜穂子、安藤玉恵は物語を相対化客観化させるいつもの役どころで安心感(二人とももっと活躍させてほしかった)。驚いたのはゲイ役のリリー・フランキーさんで、ロフトプラスワン的な店で語る冒頭のシーンでは最初リリーさんとわからなかったほど。だが何か既視感が…と思ったら、そうだ、既成のゲイタレントというよりどこか吉田豪さんっぽかったのだった。あっ吉本さんがUPした我々との写真がここに。



そして下北沢ザ・スズナリで少年王者舘『超コンデンス』。おなじみのパズルのような言葉遊びとともに進行する、これまたしばしば登場するモチーフである異体の自分と時空を彷徨う物語。具体的言及はないが、登場人物は全員もしかして死人? と思わせる雰囲気がいつも以上に色濃く漂っているように感じたが、それは今年ゆえのこちらの勝手な思い込みか。今回も繰り返される夕刻の斜光と蜩のSE。観た時期もあって「ああ今年も夏が終わった」と懐かしくも寂しい気持ちになってしまいましたよ。それにしても中村榮美子さんはかっこいいなあ。



帰りに天野天街さんに、ある打診を受けました。ふむふむ楽しみ。



とりったーTシャツ



営業でございます。『とりったー』の中で僕が着ているTシャツですが、TEE PARTYさんで販売中です。白黒2種。

小松左京、宇宙に逝く



8/17には新宿2丁目「GEISHA」で行われた小松左京追悼トークショー「巨星、宇宙に逝く」(出演:山田正紀・横田順彌・鏡明・高橋良平、司会:大森望)を客として観に行く……はずだったのだが、大森さんの策略でいきなり前半のパネラーとして登壇するハメに。ちなみに『小松左京/宇宙(そら)に逝く』というのは78年にビクターから発売されたオリジナル書き下ろしのドラマを収録したレコードのタイトル。



トークショーはここでUstream中継されたが、まだ視られるのかな? あと、まとめのtogetterはここ



前半は『さよならジュピター』の裏話と「最高傑作は『エスパイ』」という、SF関係者らしいどこまでマジなのかシャレなのかわからない結論で終了したが、後半、僕が抜けてからの各氏の発言は、なかなか聴くべき所が多かった。高橋良平さん「小松さんが物識りとは思わない。少ない資料からジャンプできる妄想力こそがすごかった」。鏡明さん「長編作家と思われており、また短編こそがいいというファンも多いが、本当に出来がいいのは中編」という指摘は、重要、かつ、してやられた感じ。ただ、この二つとも「小松左京は博識の長編作家」という共通イメージがあってこそのカウンタ意見なので、その前提がそもそも若い読者に共有されてるかどうか。



というわけで、今月発売の「映画秘宝」10月号に、柳下毅一郎さん、青井邦夫さんんとともに追悼文を書いています。SFファンのみならず読書人のコンセンサスだった巨大な教養人としての小松左京のイメージが少しでも伝わっていればいいのだが。

アトムの足音が聞こえる

8/14、オーディトリウム渋谷で『アトムの足音が聞こえる』を再見。国産TVアニメ第一号の『鉄腕アトム』、先にマンガのほうのアトムファンだった僕は、正直ほとんど動かないこのアニメにリアルタイムでがっかりしたものだったが(生意気ですね。開始時は幼稚園児なのに)しかし、そのぎこちない動きをカバーしていたのが声優陣の演技と独特の効果音だった。なによりもこのドキュメンタリーのタイトルにもなっている「キュッピョッ」という足音が有名だが、僕がいちばん好きだったのは、巨大な金属物体が出現するときに鳴る低い「ギョゴン」という音だった。現実の音を模したSEというよりは、圧倒的質量を表現する一種観念的な雰囲気音なのだ。



これらの音を作ったのが、この作品の主人公大野松雄氏である。ドキュメンタリー前半では映画・アニメ界の錚々たる音響スタッフが氏の仕事を語るが本人は登場しない(このへん、やはり電子音楽家のドキュメンタリーとして秀逸だった『テルミン』をちょっと彷彿させる)。大野氏は、僕も映画を観るまでは詳しく把握していなかったが、単なる効果マンの枠を超えた人物で、後半ではそういう氏の、人から見れば偏屈な生きかたや、現在の養護施設での活動を描いていく。映画・アニメ・テレビの音声制作、電子音楽に興味のある人は必見。7月に急逝されたレイ・ハラカミさんも登場。



この日は終映後、労作『電子音楽 in JAPAN』の著者・田中雄二さんと樋口真嗣監督のトークショーがあり、インサイダーならではの裏話が興味深かった。優れたドキュメンタリーは(悪い意味でなく)優れたフィクションなのだなあ、と思ったことです。

ライヴ二題

楽しいライヴ二つに行きました。


8/7は下北沢「風知空知」で伊藤銀次さんと黒沢秀樹さんのuncle-Jam。ギターと歌の巧い人がやるエヴァリー・ブラザーズは綺麗だなあ。我々がやるとあのねのねみたいになっちゃうからなあ。いや、あのねのねも好きでしたけれどもね。


そして8/10は代官山「晴れたら空に豆まいて」で、日比谷カタン柴草玲、grapple、玲里トリオのイベント。grappleと玲里トリオの皆さんは以前からよく知っているのだが、この日初めて観た日比谷カタンさん(浴衣で登場)と柴草玲さんのパフォーマンスには驚き呆れ嬉しくなった。すごくいいもん観た感。

藤子・F・不二雄大全集「少年SF短編3」

藤子・F・不二雄大全集の新刊「少年SF短編3」 の解説を書きました。マンガの短編と長編の違いとは? というような話をしています。また月報にもちょこっと顔出しで登場しています。



しかし藤子さんのマンガの解説を書くことになるとはなあ。
小学生の俺に聞かせたいよ。

2011年8月1日月曜日

とりったー発売中



COMICリュウで連載していた『とりったー』が7/30付けで発売になりました。



『とりったー』は大雑把に行って2本の柱で構成されています。



ひとつはTwitterでお題を出し体験談を募集、返ってきたリプライを僕がマンガ化する、という投稿企画。もうひとつはTwitter上の(正確には僕のタイムライン上で起きている)さまざまな出来事について僕が出向いていってマンガ化するという個人的なレポート企画。


とり・みきのTwitterアカウントは @videobird ですが、投稿の募集は @toritter_post で行っています。



詳しくは連載開始時のこの日記をお読みください。もちろんTwitterをやっていない人にも面白く読んでもらえるよう企業努力して描いていますので、やや偏った
Twitter入門書にも、もしかしたらなるかもしれません。ならないかもしれません。


目次から内容の一部を紹介しておきます。


●Twitter

●妖怪のっぴょっぴょ

●フーターズ

●都条例

●東日本大震災

●イタイ話




巻末にはロングインタビューを掲載。とり・みきがTwitterについてあれこれ知った風なことを語っています。



関連リンク

COMICリュウ