since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2017年6月30日金曜日

アメリカの壁と復活の日

小松左京『アメリカの壁』はアメリカの「引きこもり」的孤立を描く小説。その電子版がリニューアルされました。

SFはけっして未来予測小説ではないし、壁のモチーフも『物体O』『首都消失』と繰り返し使われていますが、それでも70年代後期に現在のトランプ政権を見透かしていたかのようなこの洞察力には驚かされます。

期間限定で無料配信される解説には「初めて公開される自筆メモや、プロの漫画家として活躍した時期もある著者の一コマ漫画も特典画像として収録」されているとのこと。

トランプ的な米大統領といえば、作品内に直接は登場しないのですが、極端な反共主義者で自動核報復システムを作り上げた『復活の日』のシルバーランド前大統領もまたすぐ思い浮かびます。こちらもご一読を。

2017年6月28日水曜日

リ・アルティジャーニ第9回

発売中の「芸術新潮」7月号はアルチンボルトと谷口ジロー追悼特集。マンガ家からの追悼は、大友克洋さんのインタビューと、相方ヤマザキマリさんの文章原稿が掲載されています。

ヤマザキさんの原稿は藤田嗣治との比較から。いつも通りストイックな文体ながら日仏の評価の違いを嘆き、これは送る会での関川夏央さんのスピーチに通じるものがありました。

ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』は第9回。今回は人間を描くのは下手だが幾何学や遠近法に異常な興味を示した奇才ウチェッロを取りあげています。人が下手なのも名前も(ウチェッロは鳥の意)親近感が湧きます。


2017年6月27日火曜日

吹替インタビューあれこれ

吹替マニアというのは恐ろしく詳しい方がたくさんいて、僕もしばしば記事のデータの間違いを指摘されたりしております(それ自体は大変ありがたいことですので、これからもよろしくご教示お願い致します)。

吹替方面以外にも、映画やテレビシリーズには、それぞれその作品のマニアというかエキスパート的ファンの方がいて、特化してその作品のことを研究されているので、その知識やこだわりたるや、とても僕など足もとにも及ぶところではありません。そういう方々からはソフトのリリース時にこちらが行うインタビューなどに対して「なんで、このシーンのこのセリフのことを訊かないんだ!」と、お叱りをいただいたりします。

そういった方々の個々の作品に対する想い入れはとてもよく理解出来ます。似たようなフェイバリットは、僕もまた幾つかの作品に対して持っていますからね。ただ一言弁明いたしますと、かような指摘が上がる項目というのは、実はたいていの場合、こちらも「これを訊こう」と用意していっているのがほとんどです。

けれども、ぶっちゃけた話、声優さんがそういう「ファンの想い入れのあるディテール」を憶えてらっしゃるケースというのは、まずありません。ディテールはおろか、収録自体も失念されていることが多い。現場では質問しているのですが「ごめん憶えてない」となると、宣材ですから、そういう部分はたいていカットされます。

これはしかし無理からぬことで、僕も含めた視聴者には何度も見返してる想い入れのある作品であっても、ご本人にとっては何千という過去の収録の”One of Them”に過ぎない。それが数十年前のお仕事だったりするとなおさらのことです。逆にプロのお仕事というのはそういうものだろうとも思います。

余談ですが、僕が過去インタビューした中で、もっともご自身の仕事をディテール詳しく憶えてらした方は若山弦蔵さんと広川太一郎さんと山寺宏一さんでした。とくに広川さんは、ポーズとしては「ファンの方には悪いけど僕はぜーんぶ忘れちゃってるから」と最初におっしゃるのですが、話を始めると全然そんなことはなく、インタビューの対象となる作品については事前にかなり「復習」されてきていることも伝わってきました。飄々とされているようで実はとてもスタイリッシュな方でした。

しかし、それらはやはり珍しいケースで、多くの場合「憶えていない」と言われることのほうが多い。文字原稿やVTRは編集で縮められますが、オーディオコメンタリーとか公開トークショーの場合はいつも苦労します。幾つかの経験を経て、声優さんのインタビューでは、とくに収録作品には限らずに、経歴や、吹替のお仕事全般に関して、まずお考えをうかがう、という構成が多くなっています。

逆に気をつけなければならないのは、ご本人の発言だからといって(データ的な意味では)間違っていることもある、ということです。

単なる記憶違いの場合もあるし、エピソードを何度も話すうちに話の「盛り」が多くなって、ネタとして出来上がっていった、というケースもあります。とくに後者は、僕自身インタビューされる側にもときどき回るのでよくわかります。サービス精神があり、話し上手な人ほどそうなりがちです。

野沢那智さんに以前お話をうかがったとき「最初は(それまでアラン・ドロン役の多かった)堀勝之祐さんがドロン、自分がモーリス・ロネ役で『太陽がいっぱい』を収録したが、2回目の収録ではそれが逆転していた」というお話をされていたのですが、今に至るも堀ドロン版の『太陽がいっぱい』は確認されていません(そのことはのちにスペシャルエディション版を出す際に野沢さんにはお伝えしました)。

ネット時代の昨今は、とかくデータやソースが重視され、こういう誤謬というのは何でもかんでも糾弾されがちなのですけど、実はそういう「盛る」部分にこそ、その人の個性が出たり事の本質が現れたりすることもあります。

野沢さんの話もドロン役が堀勝之祐さんから野沢さんに移行していった事実が端的に表現されている。羽佐間道夫さんのお話なども、うかがうたびに事実から飛躍してネタ化が進行し、まるで落語を聞いているような楽しさがあります。それは羽佐間さんの魅力でありお人柄であり、そういう部分をこそ、もしかしたら伝えるほうが大事かな、と僕は思っています。もちろんデータ的なチェックは大事ですが、それは訊く側が注釈の形であとから行えばよい作業です(といいつつ、僕もご本人の弁に惑わされ誤りがそのまま印刷されたり流れてしまった、というようなミスを過去何度か犯したことがあります。あらためて自戒)。

音楽でも特撮でも海外ドラマでも、マニアの方が作ってらっしゃるファンサイトはたくさんあり、僕などはしょっちゅう自身の勉強不足を痛感します。ただごくごく稀に、確かに詳しいんだけれども、作品の素晴らしさよりも他人のミスの糾弾や自分の資料の正確さ自慢に文字数をたくさん費やしてるような人やサイトに出くわすこともあります。攻撃されている先の文章にあたってみると、確かに誤謬を含んでいるのかもしれないが、読むと対象作品の魅力が伝わり、聴いてみたい観てみたいという気になるのはむしろこっちのほうかも……と思わされることもあって、ちょっと考えさせられます。

僕はSFファンの出身で、SF界には翻訳者以上にその作家や海外SF事情に詳しい人や、書き手より遙かに科学考証にうるさい理系畑の人がたくさんいたので、若い頃から上のような指摘やバトルはよく目にしてきたのですけど、まあ色々むずかしいですね。指摘する側も作品愛ゆえにそうしているのでしょうけど、いつのまにか攻撃的になってしまい、関係ない第三者の読者をも不快にさせてしまうことがある。

こういうやりとりはツイッター上でもたびたび目にします。Aの人の言ってることのほうが正しいんだろうけど、その言い方で支持を得られないという……。でも、ま、データは正確なのにこしたことはありません。

あと、これは時折インフォメしていますが、僕とライター諸氏とで95年に出した『吹替映画大事典』は、まだ調査も資料も検索システムも不十分な時代にまとめたもので、現時点から見れば不正確な記述や誤謬を何ヵ所か含みます。「正確なリファレンス」こそをお求めの方には僕自身も、もはやあまりお薦めできません。

時は移り、いまはWikipediaであっても吹替データは充実してきました(おそらく何人かのマニアの方が尽力されているのだと思います)。資料的には古くなってしまった『吹替映画大事典』ですが、しかし、あの当時においては画期的で、意義のある出版だったという自負はあります。エッセイ的な読み物としては今でもじゅうぶん面白いと思うので、そのように読んでいただければ幸いです。

2017年6月25日日曜日

支笏湖湖水まつり&丸駒温泉

6/24はヤマザキさんの地元の千歳市で2連チャンのライヴ。
まず夕刻より支笏湖湖水まつりに出演。とりマリ&エゴサーチャーズにとって初の夏フェス的イベントでしたが、野外、それも大自然のもとで演奏する楽しさを堪能致しました。
夜は秘湯丸駒温泉にて温泉ライブツアー企画「とりマリの秘湯でほっこりライブ&ツアー」の宴会場のステージに浴衣姿で立ちました。お客様には遠く関西から参加の方も。ありがたいことでございます。そして協賛の丸駒温泉旅館morimotoの皆様、今回もお世話になりました。
下の写真は昼間の宴会場でリハ中のうちのベーシスト。


2017年6月22日木曜日

とりマリ手拭い

6/24とりマリ丸駒温泉ライブ参加者特典の手拭い、完成しております。協賛の丸駒温泉と、もりもとの雪鶴をコラボしたデザインになっております。
撮影:伊藤健太

2017年6月20日火曜日

2017年6月17日土曜日

プリニウス第40回

『プリニウス』第40回掲載の「新潮45」7月号は本日発売。ローマ市内に怪しくはびこる新宗教とは……。

養老孟司さんと庵野秀明さんの対談も載っています。

2017年6月15日木曜日

野際陽子さん

野際陽子さんが亡くなられました。女優としてのお仕事はあちこちに詳報が出るでしょうから、声のお仕事について少し。

野際さんといえば『エイリアン』初放映時(80年フジ)のシガニー・ウィバーが有名ですが、これが初吹替というわけではありません。

もともとNHKのアナウンサー出身ですから、基本的な発声は鍛えられていたはず。むしろ、最初は実写のお芝居のほうが不安というか未知数だったかもしれません。だからという理由かどうかは定かではありませんが、転身後、留学先のパリから戻ってきてすぐに声のお仕事がスタートします。『0011ナポレオン・ソロ』のスピンオフ・シリーズ『0022アンクルの女』(67年日テレ)の主役、ステファニー・パワーズ演ずるエイプリル・ダンサーの声で、相方マークは広川太一郎氏。

あと日曜洋画劇場『ライオン』(62年公開77年OA)では、モデル出身のフランス人女優キャプシーヌの声を担当しています。ちなみに主役のウィリアム・ホールデン(この吹替版では近藤洋介氏)は『0022アンクルの女』のステファニー・パワーズともキャプシーヌともつきあっていたことで知られています。

いずれにしても60年代ファッションを体現するかのような女優であり、パリ帰りで「日本で初めてミニスカートを穿いた女性」といわれた野際さんが抜擢されたのは、わかるような気がします。

『エイリアン』のあとは同じフジの『ブラックホール』(84年OA)で、女性博士役のイヴェット・ミミューの声を担当されていました。80〜90年代のフジテレビは、とくに番宣絡みでなくとも、こうした実写系の役者さんの起用に熱心でした(下条アトム氏のエディ・マーフィーとか村野武範氏のブルース・ウィリスとか)。

東急のオジギビト

三軒茶屋駅でキャラの強いオジギビト発見。



その後検索したら、こちらの方のデザインとのこと。

2017年6月13日火曜日

スティーブ・ジョブズ最終回


本日発売のハツキスで最終回。

ごく最近(というかリアルタイム)に実在した人間の人生を反芻するのは、並大抵ではない精神的疲労がともなったかと思います。ましてや、存命中は周りの人間をも同様に疲労させたジョブズ。

長い間お疲れ様でした

2017年6月12日月曜日

支笏湖湖水まつりに出演

「とりマリの秘湯でほっこり&ライブツアー」おかげさまで定員に達しました。お申し込みいただいた皆様ありがとうございます。一緒に秘湯の夜を楽しみましょう。

さて、とりマリ&エゴサーチャースですが、同日6/24の夕方にはサンセットコンサートと称し「支笏湖湖水まつり」のステージにも立つことになりました。夏フェスです! ヒメマスや餅まきも! 

旅館企画は外れた方もこちらは無料ですので近辺の皆様お誘い合わせの上ぜひお越しくださいませ。