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2012年2月29日水曜日

この空の花〜長岡花火物語〜



2/24は有楽町朝日ホールの大林宣彦監督最新作『この空の花〜長岡花火物語〜』完成披露試写へ。

詳しい内容は上記サイトを見ていただくとして、ドラマとドキュメンタリー(しかも過去の長岡の歴史と、クランクイン直前に起きた水害、及び昨年の震災や原発事故も同時進行で入れ込んでいる)が渾然一体となった、なんとも不思議なツクリになっている。

冒頭から途絶えることのないセリフとテロップと音楽が圧倒的な量で迫ってくる。普通の映画でそれをやられると説明過剰というか、正直いって僕は苦手なパターンなのだが、今回は確信犯でやっているであろう常識を超えたその「量」がひとつの表現になっている感がある。そもそもこれは「普通の映画」でも「普通のドキュメンタリー」でもないのだ。

カット割りも常軌を逸した細かさで、しかも大林独特のイマジナリーラインをわざと崩した編集になっているので面食らう人は多いだろう。大林映画を見慣れているはずの僕でさえ、最初はなかなかうまくそのリズムに乗れない。しかし、詰め込み過ぎくらいに詰め込まれた一見脈絡のないかのような大量の情報——ドラマと長岡の歴史と現在進行中の出来事——は、やがて終盤に来てアクロバティカルかつ圧巻の有機的な収斂を見せる。

舞台挨拶で監督は「映画の中では東日本大震災と原発事故も取りあげているが、現実の被災地にカメラを持ち込むようなまねは、映画人の礼儀としてするべきではないと思ったし、やらなかった」と語られていた。この言葉はまことにもって大林宣彦らしい。もちろん「映画人だからこそまずは現地へ赴くべき」と考えるタイプの創り手もいるだろう。

しかし、大林宣彦は商業映画のデビュー作から徹底して「映画のウソ」にこだわってきた作家である。合成ひとつにしてもリアリティよりはむしろ「合成とわかる合成」で異化効果のために使われることが多かった。その矜持がこの映画の長岡空襲のシーンに現れる。

ドキュメンタリーとしてもっとも重要な、かつ悲惨なこのシーンを、大林は市民や高校生が演じる「劇中劇」と「紙芝居」を使って描く。さらに、そこにいかにもアニメ的な記号的にカリカチュアされた爆風や炎を加えるという、いわば三重の、しつこいまでの「フィクション」化である。映画は創り事で真実を伝えるものである、という理念が伝わってくる。

これまでのキャリアと過去に絶賛された(叙情的な方向での)得意技を持ってすれば、いくらでも収まりのいい作品を作れるはずなのに、あえて毎回毎回物議をかもすようなツクリにしてくる相変わらずのやんちゃぶりに、まず敬意。とりあえずはここのトレーラーをご覧あれ。土手道のセーラー服一輪車の列が最初から尋常でない。さらに石川浩司の山下清とは卑怯千万にもほどがある。

そして個人的にいちばん嬉しかったのは、尾美としのりが大林映画に戻ってきたことであった。

※この文字色部分は2012年5月10日に加筆しました

2012年2月28日火曜日

やついフェスと田園に死す

2/18は渋谷で行われたやついフェスティバルに行ってきました。

フェスの宿命で時間が重なるので全部は見られなかった人もいたが、レキシ→バニラビーンズ→NONA REEVES→いとうせいこう→KERA&ガンビーズ→マキタスポーツ→平常心ブラザーズ→渋さ知らズと駆け巡りました。きゃりーぱみゅぱみゅと東京女子流は棄てて、ほとんどおじさんばかりに走った。

いとうさんとDub Master Xさん、ほとんど打ち合わせはなかったそうだがラップもDJも阿吽の年季を感じました。宮沢章夫さんとやついいちろうさんの平常心ブラザーズは若い女性が多かった。話の内容はここでは書けない(このところ書けない話が多いが、それがまあLIVEの醍醐味なので)。

渋さ終了後にWESTを出たところでしりあがり寿さんと田辺めきし子さんとしまおまほさんに逢う。そこから4人は宮沢章夫さんを捜すO-WEST & EASTの裏ダンジョンの旅に出るのだが、これが行ったりきたり、はたまた途中でアイテムをゲットしたりして、なかなか面白かった。結果からいうとおかげさまで宮沢さんとやついさんにはEASTで会えました。最後は演奏中の小室哲哉氏のステージの後ろを駆け抜ける(といってもホリゾントの裏側ですけどね)という得がたい経験をしてEASTより脱出。

翌2/19はスズナリの流山児★事務所『田園に死す』(演出:天野天街)再演へ。2009年の初演の時も観に行ったが、もともと虚実入れ籠構造の作品だから天野さんの演出との相性はピッタシで、二度目とはいえまたまた迷宮に迷い込むはめに。2日続けて迷ってばかりだ。

手塚キャラ祭りと !?

またまたマンガに関するtogetterの話題2点。

2/9は手塚治虫さんのご命日だったのですが、この日の朝に手塚るみ子さんと交わした会話が発端となって、マンガ家さんの手塚キャラ祭りに発展。@Dyrell6502さんがまとめてくれました


さらに2/17から18にかけて、
@hachimoto8さんの「
驚くセリフに連続で「!?」をつけるととり・みきっぽくなる気がする」というツイートに僕が反応したところ(反応したということは自分でもそういう意識があるということですね)それが引き金となって、他のマンガ家関係者も巻き込んでちょっとした約物談義になりました。「約物」がわからない人は自分で調べてね。最後のほうではすがやみつるさんがマンガ史的にも興味深いお話を。こちらは@wsplusさんがまとめてくれました↓

2012年2月14日火曜日

2月11日。

先週も会った人、数年ぶりの人、たくさんの人に会いました。よい会でした。

R.I.P. Masayuki Kawakatsu (
1956-2012):Editor, Writer & 20-21st. Century Popholic Man

GOGAとしあわせのパン

「開田裕治とウルトラの世界展」へ行って、開田さんデザインのゴーガTシャツにサインしてもらったよ。

そのあと『しあわせのパン』を観て、帰り道に夜空を見上げたら、微かに降っていた雪がやんで満月が顔を出していた。月齢など知らなかったので偶然の映画と同じ展開にちょっと感動。

2012年2月3日金曜日

TOKYO REMIX ZOKU オジギビトの極み

J-WAVEのDOCOMO東京REMIX族で、しょこたんと山田五郎さんとオジギビトについて喋ってきました。放送日は明日2月4日(土)17:00〜17:54

ラジオではそもそもオジギビトの写真を見せることが出来ないので解説に苦労しましたが、放送に合わせてTwitterに番組で言及している写真をUPしていこうかと思っています。OAを聴きながら僕のTweetにもご注目。

2012年2月2日木曜日

田中光二さん300冊記念パーティ


田中光二さん300冊記念及び第7回日本SF評論賞の合同パーティに行ってきました。写真左から優秀作受賞の渡邊利道さん(独身者たちの宴 上田早夕里『華竜の宮』論)、田中光二さん、選考委員特別賞の忍澤勉さん(『惑星ソラリス』理解のために——『ソラリス』はどう伝わったのか)

筒井さん/右写真左は夢枕獏さん
300冊と銘打っていますが、パーティの企画発足後さらに4冊もの新刊を上梓、正確には現在304冊だそうです。会場は、田中さんのお祝いということで、SF第一世代〜第二世代のベテランの作家さん達が久々に一同に会した感。

とくに筒井康隆さんはこの場で最年長でありながら誰よりも過激な発言連発。二次会までご一緒しましたが、ここにはとても書けない危険なアンソロジー計画を提案され「とりさんもマンガを12ページ描きなさい」と。いや私はまだ命が惜しい。それにしてもその変わらぬアナーキーさには感服。腰の引けた自分の未熟さを思い知りました。


そのあと下北沢のいつものバーに移動。既に中川いさみが飲んでおり、やがて、この日が誕生日の山本直樹もやってきて、皆で乾杯。

実は先週の金曜にここにケータイを入れたバッグを忘れていて、その回収もあって寄ったのだが、5日ぶりに見てみたら電話の着信1件、メール0通であった。友達少ねえ(
しかもその着信1件は店主から「バッグ忘れてますよ」という電話であった)。