since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2016年8月31日水曜日

『もう安心。』電子書籍版

装丁:ペッパーショップ(古賀学)

過去作の電書化が進んでおりますが、9/1付でイースト・プレス版『もう安心。』がKindle、iBooks他主要電書書店で配信開始となりました。

自分のマンガを自分で分類解説するのもどうかとは思いますが、初めて本書に接する方もおられると思うので、簡単なご案内を。

僕のマンガは大雑把にいってギャグ、エッセイコミック、シリアスなストーリー物の三つに分かれます(呼び方が適当かどうかわかりませんが、とりあえず便宜的にそう呼んでおきます)。デビュー以来メインで描いているギャグマンガだけでも、『遠くへいきたい』のようなセリフ無しの9コママンガから、『キネコミカ』『SF大将』のようなパロディ、『DAI-HONYA』『冷食捜査官』などのストーリーギャグ、と色々タイプがあります。

その中で1987年刊の『a Heebie-jeebie』(ひいびいじいびい)を皮切りに続けているスタイルがあります。体裁としては一篇が数コマから10ページくらいのショート・スケッチ集なのですが、それぞれのエピソードは独立しているようで相互に入れ篭状に繋がっており、一巻単位としてみても1つの作品のようになっている……ことを目指した短編集です。

左から白泉社版『ひいびいじいびい』 同ぶんか社版 『人達』『御題頂戴』
装丁はいずれも祖父江慎+コズフィッシュ
『a Heebie-jeebie』以外に『人達』『御題頂戴』などがその系譜になります。最初からそう目論んで1つの雑誌で連載したものもあれば、全然別場所で描いた短編をリミックスして、単行本化の際にそう仕立て上げたものもあります。今回電書化される『もう安心。』は後者です。

もともとは青林堂で書籍化されましたが今回のはイースト・プレス版。青林堂版のカバーは劇作家・演出家の天野天街さんによるコラージュでした。

時事ネタとして出てくる直近のオリンピックがバルセロナ五輪……という時代の作品ですけれども、読み返してみたらさほど古びてない気もします。まあ、それは気のせいで作者が当時から全然進歩してないだけかもしれません。新しい読者の感想をお聞かせいただければ幸いです。あ、もちろん再読の人も。

2016年8月30日火曜日

『エイリアン2 <日本語吹替完全版>』

吹替の帝王シリーズ最多6種の吹替音声を収録『エイリアン2<日本語吹替完全版>』本日発売です。ブックレットでとり・みきが鈴木弘子さん(TBS版リプリー=シガニー・ウィーバー)と田中秀幸さん(テレ朝版ヒックス=マイケル・ビーン)にお話をうかがっております。詳しくはFOXのこの特設サイトで。
 

2016年8月26日金曜日

とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾

今年もしたまちコメディ映画祭in台東にて企画を担当いたします。しかも2コマ!
  
まず最初は滝口順平さんの『カウボーイGメン』 から数えて吹替60周年ということで、長尺物(洋画劇場)全盛時の月曜ロードショー版の吹替で『名探偵登場』を上映します。吹替陣はピーター・フォークを小池朝雄、デヴィッド・ニーヴンを中村正、ピーター・セラーズを羽佐間道夫という定番に加え、滝口順平、内海賢二、千葉耕市、高橋和枝、藤波京子、花形恵子、千葉繁、幹本雄之……という豪華メンツ。終了後に羽佐間道夫さんをゲストにトークショーを行います。

2016年9月18日(日)開場10:30/開演11:00
開催場所:東京国立博物館 平成館

料金:前売 1,500円 当日 1,800円(自由席)チケットぴあにて販売中
詳しくはしたコメの吹替え60周年記念上映『名探偵登場』サイトをごらんください


さらに同日の午後には同じ会場にて「とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義」第2弾と銘打ち、日本未公開未放映のテレビシリーズ『危険戦隊デンジャー5~我らの敵は総統閣下~』から3本を、この講義のための新規の吹替で上映します。吹替陣は、羽佐間道夫、江原正士、堀内賢雄、千葉繁、星野充昭、甲斐田裕子、森洋子、他。

こちらも終了後に羽佐間道夫、江原正士、堀内賢雄、千葉繁、甲斐田裕子、森洋子、多田野曜平(予定)の各氏をゲストにトークショーを行います。とにかく台本にないことを喋らせては右に出る人がいない人だらけで大変なことになっています。こちらもチケット販売中。お早めに!

2016年9月18日(日)開場14:00/開演14:30
開催場所:東京国立博物館 平成館

料金:前売 1,500円 当日 1,800円(自由席)チケットぴあにて販売中
詳しくはしたコメの映画講義「とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義」第2弾サイトをごらんください

とりマリ札幌ライヴ

 
とりマリ&エゴサーチャーズの札幌ライヴが決まりました。

もりもとpresentsとりマリin北海道

出演:とりマリ&エゴサーチャーズ
   ヤマザキマリ(vo)
   とり・みき(Gt)
   葛岡みち(Key)
   伊藤健太(Ba)
   松井泉(Per)

日時:2016年10月22日(土)
会場: PROVO (北海道札幌市中央区南6条東1-1 KIビル3F)
協賛:株式会社もりもと(千歳市)


TiGETのこのサイトで2016年8月27日12:00から予約開始

2016年8月25日木曜日

芸術新潮9月号

 
本日8/25発売の芸術新潮9月号、特集はサザエさん・安野モヨコさん・篠山紀信さん。

ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』の第5回も載っております。今回は「ルネサンスの職人画家にもエージェントはちゃんといた!?」の巻。

ちなみに今月の新潮45『プリニウス』はお休みです。予定通りで落としたのではないので念のため。

2016年8月14日日曜日

山下達郎「CHEER UP! THE SUMMER」

山下達郎さんのニューシングル「CHEER UP! THE SUMMER」のジャケットにとり・みきのイラストが使われました。

発売は9月14日ですが、iTunes Store、レコチョク、その他主要配信サイトでは8月18日(木)より先行配信されます。詳しくはワーナーの山下達郎特設サイトで。

『SF大将』電子書籍版

8月15日『SF大将』電子書籍版が配信開始されます。

電書版には、書籍版・文庫版発売以降に「S-Fマガジン」「本の雑誌別冊・おすすめ文庫王国」等に描かれた作品も追加収録(計36p)されています。いわゆる増補改訂版です。


SF大将 enlarged and revised edition 

電書版追加収録作品

●SF小僧の逆襲(S-Fマガジン/2006)4p
●SF小僧の花嫁(S-Fマガジン/2010)4p
●SF小僧の息子(S-Fマガジン/2014)4p
●SF小僧の幽霊(Comic S 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー〔SF篇〕/2016)4p 

とり・みきのSF大将/虐殺器官(おすすめ文庫王国/2010)2p
とり・みきのSF大将/万物理論(NOVA版/2010)8p
とり・みきのSF大将/果しなき流れの果に(おすすめ文庫王国/2011)2p
とり・みきのSF大将/都市と都市(おすすめ文庫王国/2012)2p
とり・みきのSF大将/クラーケン(おすすめ文庫王国/2013)2p

2016年8月12日金曜日

『キネコミカ』電子書籍版

『キネコミカ』の電子書籍が、Kindle、iBooks、楽天、等主要電書書店で発売されております。

中身はハヤカワコミック文庫版と同じ。初版のソニーマガジンズ版ではモノクロ収録だった作品も、文庫化の際にすべて二色化して収録し直しましたが、電書版もオール二色です。90年代に上梓した作品ですので、とりあげている映画がそれ以前のものに限られるのはご容赦ください。
 

2016年8月1日月曜日

『DAI-HONYA』『THE LAST BOOKMAN』の電書化に際して思うこと

 
書店管理官シリーズの『DAI-HONYA』『THE LAST BOOKMAN』(原作:田北鑑生)が電書化されました。Kindle、iBooks、楽天、等主要電書書店で既に配信されています。

この2作品の電書化というのは皮肉めいててなかなか感慨深いものがあります。すでにこの2作をお読みになっている方は、その意味するところはおわかりと思いますが、未読の方もおられると思うので、ネタバレしない範囲で記しておきましょう。

『DAI-HONYA』が初単行本化されたのは1993年。CD-ROMやフロッピーディスクを利用した電子書籍用リーダーが発売されたばかりの時代でした。民間のインターネットもまだありません。原作の田北さんの先見性には驚くばかりですが、それもそのはずでこの頃彼は現役の書店店員だったのです。


1作目では「紙の本」を読む文化はいっきに衰退するかと思いきや、いびつな形で先鋭化・巨大化します。そうした本をめぐる犯罪に対処すべく登場したのが「書店管理官」という設定です。『DAI-HONYA』では主人公の書店管理官と書店テロリストの戦いを、巨大書店を舞台に描いています。

その続編『THE LAST BOOKMAN』が出たのは2002年。こちらでは書店管理官すら、もはや御用済みでお払い箱の時代になっています。今回の敵は世界中の情報を独占管理しようとする巨大配信組織の「調和社」。これもまた現在のAmazonやiTunesの隆盛を先取りしていた……と、まあそれくらいは作者が自分でいっても、内輪ぼめや自慢にはならないでしょう。

電書化が皮肉、と書いたのは、つまり、どちらも「紙の本」の終焉に抗った人々を描いた作品だからです。

さて、上梓してからだいぶ年月が経っているので、少しだけバックステージの話をしてもいいかもしれません。ここから先は既読の方向けです。といっても未読の人も結局読んじゃうでしょうから、そのへんはいちおう考えて書きます。

『THE LAST BOOKMAN』は『DAI-HONYA』の続編という形を取っていますが、少々成り立ちが異なっています。

『DAI-HONYA』はそもそも田北さんが読み切りのつもりで原作を描いてきた作品です。したがって原作はもう少しシンプルで短いものでした。しかし、描かれている世界背景がとても魅力的だったので、僕はこれを単行本1巻=連載12回くらいの長さで描きたいと思いました。

なので、原作に後から詰め込めるだけのギャグやサイドストーリーを詰め込んで膨らましました(その作業にはもちろん田北さんもかかわっています)。とにかくコマのどこかにはヒトネタぶちこむ、くらいの勢いで描いています。

いっぽう『THE LAST BOOKMAN』のほうは、最初から彼は連載物のつもりで原作を書いてきたのですが、今度は長すぎました。そのままマンガにすると足かけ3年=単行本3巻分は必要な話になっていました。

連載する予定の月刊誌は開始前から存続の危機が聞こえてきており(よい作品は多かったのですけどね)事実、連載終了直後にこの雑誌は休刊してしまいました。そういう事情もあって、これもまた前作同様単行本1巻の長さに収めたい、と僕は思いました。

ただし、前作はギャグで膨らましたのですが、今回は「削って」1巻分に縮めなければなりません。結果として、お話にあまり関係ないくだらないギャグの数は、前作ほど入れることは出来ませんでした。

もうひとつ、『THE LAST BOOKMAN』はデジタル作画を導入した最初の作品でもありました。当然試行錯誤はあり、現時点から見るとあまり洗練されていない使い方があちこちで見られます。まあこれはしかたがないですね。

話の内容に関しては、作者からつけ加えることはありません。

ただ、いまでもときどきオタクvsサブカルみたいな話がTLに流れてきますが、僕のオタク観、サブカル観、コレクター観というのは、全部『DAI-HONYA』の中に詰め込んでギャグとして昇華して描いたつもりです。これ以上につけ加えて言葉でなにか語ることは、20年以上経ちましたが、あまりありません。

既読の方は、そういう視点もちょっと気にとめて再読してもらえると、あらたな発見があるかもしれません。また、当方は「耐用年数の長いギャグマンガ」を描くのがモットーですから、20年以上見落としていたギャグの発掘もあるかもしれません。

そして新しい読者の方は、disりでもなんでもいいので率直な感想を聞かせていただければ幸いです。作者はいつでもエゴサーチしています。