since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2020年7月10日金曜日

プリニウス第69話「アケロン」がくらげバンチで公開

ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』第69話「アケロン」がくらげバンチにて無料公開になりました。

かつて青春時代はオトとつるんでいたネロ。ポッパエアを寝取ったことも忘れたのか、今でもオトが裏切るはずはないと信じ込んでいるようです。

プリニウスは『博物誌』で「ネロは足の裏に香料をつける習慣があったが、それはオトから教わったものだそうである」と書いています。

このエピソードからも二人が昔は仲がよかったことがうかがえます。ポッパエア絡みで二人の仲は決裂しましたが、オトの前に決起したご老体ガルバもまた、かつてネロの母アグリッピナの求婚を断った過去があるなど(ネロは気にしていなかったようですが)、叛乱の裏には女性絡みの因縁が渦巻いているようです。

2020年7月9日木曜日

豪雨被害に遭われた皆様へ

令和2年7月の豪雨により被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

私自身、今回もっとも被害の大きかった球磨人吉地方で生まれ育ち、1965年の水害では床上浸水からの救助避難を経験しましたが、今回はそのときを上回る規模の災害になってしまいました。

現地からの中継で流れてくる、長年見知った街の変わりように言葉もありません。

これを書いている現在、まだ天候は不安定であり予断を許さない状況が続いております。避難されている方々、暑い中、また感染症の不安の中、復旧作業に従事されている方々のご無事を心よりお祈り申し上げます。

とり・みき拝

なお、とり宛にもご心配のお言葉をいただいております。ありがとうございます。現在は実家は人吉から住まいを移しております。また、親族も家屋・店舗は大きな被害を受けてしまいましたが無事を確認しております。

2020年7月7日火曜日

プリニウス第70回「アルティフェクス」

「新潮」8月号発売。ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第70話「アルティフェクス」(=芸術家)。いよいよネロの最期を描きます。タイトルはネロの最期の言葉とされている "Qualis artifex pereo"より。



冒頭はカピトリーノのユピテル神殿。雷神が象徴するように、この日ローマ市内には暗雲が立ちこめ雷が鳴り響いていた、と文献は伝えています。

ネロの最期はスエトニウスによって詳しく記されており、後世のネロ伝もおおむねこれに拠っているのですが、スエトニウス個人の恣意的な脚色も大きい印象ではあります(あんたその場におったんかい、というような)。ともかくネロが最後に駆け込んだファロンのヴィラはサラリア(塩)街道方面にあったということで、一行は北東の門から脱出しています。


『プリニウス』では一応こうした文献を踏まえつつも、これまでネロと格闘してきたヤマザキさんならではのエンディングになっています。届いたヤマザキさんパートの人間のお芝居が鬼気迫るものがあり、とりの担当箇所や演出もそれに応えるべくふだんの倍近く作画に時間がかかりました。
これをもって9月発売予定の第10巻所収のラストエピソードとなります。

日経夕刊「プロムナード」で連載開始

日本経済新聞の夕刊エッセイ欄
「プロムナード」の火曜日を今月から半年間、担当することになりました。

WEB版でも読めますが登録は必要です(無料登録でも月10本までの記事が読めるようです)。こちらが第1回「コロナ禍中のマンガ家」

2020年7月3日金曜日

日光仮面

コロナ禍中、ご多分に漏れず部屋の片づけ(それまで仕事と日々の雑用に追われ長年未整理だった部分までこの機に出来たのは、まあよかった)をやっていたら、こういうものが出てきましたよ。



描いたのは模写ネタからして小6から中1の頃か? 「日光仮面」という主人公の、ろくにストーリーもないマンガですが、ページごとに既存のマンガ家のパスティーシュになっている。ていうか模写がしたいのがメインで話はどうでもよかった、という感じですね。しかしその後プロになってもやってることは全然変わっていない。進歩がない。

2020年6月25日木曜日

リ・アルティジャーニ第25回

「芸術新潮」7月号発売中。特集は鳥獣戯画。ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』は第25回。

ヴェネツィアから時を戻してレオナルド修業時代のフィレンツェへ。公証人をしていた父親に呼び出されたレオナルドは若きアントネッロを紹介され「あの絵」と出逢います。舞台は父の事務所があったバディア・フィオレンティーナ教会。



アルティジャーニはフィレンツェ、ナポリ、ヴェネツィアで色彩設計のトーンを少しずつ変えています。フィレンツェは上空からだと屋根瓦のせいで朱色っぽい街に思えるのですが、街を実際に歩いた地上目線では全体的に緑(灰緑)っぽい印象。レンガや漆喰がそういう色なのです。写真は2015年取材時。

2020年6月18日木曜日

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黙々と点描:∴∵:∴∵:∴:∵作業中


『プリニウス』はアナログとデジタルのハイブリッド。ミニチュア+CGという今の日本特撮の感覚に近いかも。

歩け走るな!


ツイッターの風野春樹さんのツイートで1966年の『歩け走るな!』(Walk, Don't Run)
がAmazonPrimeに入っていることを知ったのでやっと見た(ずっと見たかったが、昔出たDVDが今ではなかなか手に入らないのだ)。

64年のオリンピック時にケーリー・グラントが東京にやってくる、という映画なので『オリンピア・キュクロス』を描いているヤマザキマリさんにも教えてあげる。監督はMGMミュージカルの名匠チャールズ・ウォルタース。

話は他愛もないラブコメで、オリンピック選手が一般人のアパートに競技前日まで練習もせずに居候するなどユルユルなのだが、グラント以下の俳優が実際に来日しての東京都心でのけっこう大がかりな路上ロケにまず驚いた(この頃の日本物は実景だけ別班が撮ってきて、あとはスタジオセットとスクリーンプロセスで……というパターンも多かったですからね)。

当時の八重洲口、代々木、新宿、新橋、かちどき橋周辺で、主要な俳優込みでエキストラも動員して面倒そうな撮影をしており、映画冒頭で警視庁への謝辞も出る。この翌年には『007は二度死ぬ』の日本ロケもあり、その辺の許可関係はまだ鷹揚だったのか。その後80〜90年代には、日本は都市部での撮影がもっともやりにくい国としてハリウッドには(いや邦画関係者にも)悪評高くなっていく。

60年代の東京の実景を眺めるのもこの作品の醍醐味だが、もうひとつ驚いたのは、アメリカでのセット撮影部分もこの当時の映画としてはビックリするくらい(僕はそういう誤解描写が好きなので、がっかりするくらい)変なところが少ない。いや皆無ではない、お約束のようにトルコ風呂っぽい銭湯が出てきたりはするものの、しかし、おおおむね当時の東京の家屋や店舗の作りに違和感はなく小道具にも気が配られていて(台所にはライオンと花王の洗剤が仲よく並んでいる)、日本のスタッフがずいぶんかかわっているのかな、と思わせる。ドラマ上での日本人の描き方も対等だ。

そしてとり的に興味を引いたのが日本の裕福な家の子供たちがお茶の間のテレビで「日本語吹替の洋画劇場」を見ているシーンがあること。画面ではジェームズ・スチュアートが日本語を喋っている。作品は『ララミーから来た男』だろう。声はたぶん日系俳優で浦野光さんではない。こういう描写は面白い。

トレッキーにはジョージ・タケイが警察署長役で出ているのも見所。『二度死ぬ』にも出ている島田テルも登場。あと音楽がクインシー・ジョーンズなのだ。で、調べるとハモニカを吹いているのがトゥーツ・シールマンスだったりする。

ただ大スターだった「ケーリー・グラントの引退作品」にふさわしいかな、と考えると、その点だけはちょっと寂しい。

※ケーリー・グラントはイギリス生まれの(この映画にもイギリスの商社マンとして出てくる)1930〜60年代のハリウッドの二枚目スター。コメディアン出身なのは現在のトム・ハンクスとちょっと似ている。


2020年6月7日日曜日

タツローくんフィギュアセット発売

アコースティック・ライヴ・ツアー "山下達郎 Special Acoustic Live 2020" の再開に向け、オフィシャルグッズを先行発売。とり・みきによるキャラデザインのタツローくんフィギュアセットなどが新規追加されました。ぜひご利用ください。

☞山下達郎 ONLINE SHOP

2020年6月5日金曜日

プリニウス第69回「アケロン」

「新潮」7月号、本来発売日は7日ですが土日の前倒しがあって6/5に発売。
ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第69回「アケロン」。意図したわけではないのですがアメリカや日本で起きていることとマンガがシンクロしてきているような......。
アケロンとは物語のはじめの頃からネロの居場所(宮廷・寝室・移動先)にしばしば描かれてきたオウム......もといインコの名前です。冠羽があるのがオウム、ないのがインコらしいですが今回をお読みいただければオウムかインコかはまあどっちでもよくなるかと。

2020年6月1日月曜日

ジョージ秋山さん

若木書房版『パットマンX』第5巻(1969年)198p

ジョージ秋山さんが亡くなられた。

『パットマンX』『ほらふきドンドン』『コンピューたん』『どくとるナンダ』『黒ひげ探偵長』といった初期作品が本当にもう大好きだった。小学校中〜高学年当時、ページをめくる度にもっとも声を出して笑ったのががこれら初期のギャグマンガだった。

そして中学に上がる頃『デロリンマン』『銭ゲバ』『アシュラ』『告白』『ザ・ムーン』という問題作が次々に始まる。そして胸をえぐるようなこれら一連の連載が一段落したあと『浮浪雲』が登場するのだ。

ことギャグマンガに限って話をすれば、僕が小学校に上がるまでの愛読マンガ家は杉浦茂、前谷惟光、わちさんぺい、山根赤鬼。小学校に上がる頃にそれらは赤塚不二夫、石森章太郎、藤子不二雄、つのだじろうといったモダンな作風のトキワ荘グループに置き換わる。

そして中学へ上がる60年代後半から70年代にかけて——これはあくまで読み手としての勝手なグルーピングで当事者たちにはそんな意識はなかったと思うが——永井豪、ジョージ秋山、山上たつひこといった若い才能が台頭する。彼らに共通するのはギャグマンガ家でもありながらシリアスなストーリーマンガも描き、しかもそのいずれもが当時のマンガ表現のギリギリを攻める過激な作風だったことだ(やや遅れてみなもと太郎と吾妻ひでおがこの戦線に加わるが彼らの作風はもう少しクールだった)。もちろん僕は夢中になった。

『浮浪雲』ビッグコミックス七巻目「巡の巻」
1977年初版第5刷191p

なかでもジョージ秋山はその自己像のフェイク性といったところにも惹かれた。『告白』に顕著だが、それはたまに読むインタビューなどにもよく表れていた。同時期の日野日出志『地獄の子守唄』や、つげ義春の自分を主人公にした作品など、どうも自分はそういう自己韜晦の強い作家や作品が好きなのかもしれない(自分がそうであるかどうかはまた別の話)。『浮浪雲』はギャグや問題作を経た悟りの境地のように一見見えるけれども、同時に常に騙されているような疑念もつきまとい、それがまた魅力でもあったのである。

ちなみに『浮浪雲』の中でいちばん好きなエピソードは「定八の結婚」。これの載ったビッグコミックを上熊本駅の待合室で読んで滂沱の涙を流したのを鮮明に憶えています。

2020年5月28日木曜日

ナンシーちゃん

新版が出るというので中学生の時に買った立風書房版『ナンシーちゃん』を引っ張り出してきた。

"ラブリーまんが"のキャプションといい、バックの水彩イラストといい『小さな恋のものがたり』(同じ立風書房)の大ヒットへの便乗が今見ると少し露骨。アーニー・ブッシュミラーの描線は硬質で幾何学的なので、この水彩イラストはたぶん日本側で別人が描いたものですよね?(キャラもちょっと怪しい)

しかし中身は好きでした。『リトル・キング』のオットー・ソグローといい、当時の自分はこういう定規で引いたような線が好きだったんだなあとあらためて。理詰め体質もあるが、フリーハンドの味わい深い線がとても自分には引けなかったんで逆に走ったということもあるのでしょうね。

自分の初期ギャグマンガの背景も、だから硬質で直線的。定規を使いロットリングで引いてる。

ところで新版のナンシーの作者(女性)が6代目というのにちょっと驚き。アメリカのマンガはタイトル至上主義で描き手が随時変わっていくのはもちろん承知してましたが、アメコミだけでなく新聞マンガでもそういうケースはあるんですね。

2020年5月22日金曜日

文藝別冊「総特集 星野之宣」発売


文藝別冊「総特集 星野之宣」が発売されました。

新保信長・穴沢優子両氏による編集はいつもながら痒いところに手の届く内容になっております。星野+諸星合作のグダグダ感がすばらしい。


星野之宣論(もしくは星野・諸星比較論)的なテキストは潮文庫版『宗像教授伝奇考』の解説で一度書いていますので、今回とりはマンガ『遠くへいきたい』特別伝奇篇を描きました。

2020年5月21日木曜日

映画秘宝7月号 永久保存版 大林宣彦映画入門に 寄稿

双葉社に引っ越した「映画秘宝」7月号が発売されました。特集は訃報を受けて「大林宣彦映画入門」。秘宝らしいこだわりの内容です。執筆は町山智浩、宇多丸、大槻ケンヂ、高柳良一、中江有里、鴻上尚史、犬童一心、小中和哉、今関あきよし、井口昇、行定勲、柳下毅一郎、三留まゆみ、樋口尚文、モルモット吉田の各氏。

とりも『天国にいちばん近い島』での監督との出会いを書いています。(『天国』に関しては昨年刊の「フィルムメーカーズ/大林宣彦」(樋口尚文・編)にも書いていますので、機会があれば併せてお読みください。

さらに「哀悼・藤原啓治」特集では麻宮騎亜、森川智之、岩波美和、神武団四郎、湯浅政明、堺三保、Siringoの各氏が執筆。とりは「映画訃報」のページで久米明さんの追悼記事を書いています。

同号ではイタリア・ジャッロ(ジャッロとは黄色=パルプ・フィクション的な意味で、転じてエロ・グロ・ホラージャンルの映画)映画の巨匠マリオ・バーヴァの特集も。偶然なのか意図したものか聞いてませんが、こういうところが秘宝らしい。というのも大林監督は変名でマリオ・バーヴァからとった「馬場毬男」を使っており、遺作『海辺の映画館』の主人公名にもなっているからです。

2020年5月20日水曜日

復刻版 ウロン文学選集『へろ』+『ふるむまかをめら』2冊セット

「復刻版 ウロン文学選集(『へろ』+『ふるむまかをめら』2冊セット)」が届きました。

なんのこっちゃわからんという方も多いかと思われますが、この2冊は吾妻ひでおさんの『不条理日記/SF大会編』に登場する架空のSF文学です。架空の筈なのになぜ現存するかはリンク先の解説をお読みください。

全体として冗談であるにもかかわらず限定数復刻ということでかなりお高い値段設定になっておりますが、新規にお買い求めになる方はそのシャレをご理解の上ご購入されますよう(後からお怒りになっても私は知りません)。

とり・みきは旧月報1のテキスト(復刻)と新月報3のひらみっとくらめ像(描き下ろし)を寄稿しております。

2020年5月8日金曜日

星座の話

自宅待機中に(といってもデータ入稿のマンガ家の生活はあまり以前と変わらないのですが)毎日少しずつ仕事部屋の片づけをしていたら、子供の頃最初に読んだ天文学の本が出てきました。

野尻抱影『星座の話』(偕成社)がそれで初版は昭和29年、家にあったのは34年の7版。もちろん父親が購入した物ですが、その後もロングセラーとなった名著。全ての漢字に読み仮名が振ってあるのですが、文体と内容は子供向けというわけでもありません。天体物理学へもギリシア神話への興味もわく、文・理どちらへのゲイトウェイにもなっていたと思います。

といいつつ中身の詳細はすっかり忘れていたのですが、あらためて記述を読むと三つ子の魂なんとやら......。


ヤマザキさんの声かけで始まった『プリニウス』ですが、これを描くことになったのは必然のようにも思えます。

プリニウス第68話「パルミュラ」がくらげバンチで公開

ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』第68話「パルミュラ」がくらげバンチで無料公開されました。プリニウス一行はついにシルクロードの要衝パルミュラへ到着します。そこで彼らが見たものは......
さまざまな国の人々、さまざまな貿易品
そしてさまざまな神々と怪物......

2020年4月25日土曜日

偽時かけ


「アニメック」誌85年4月号に作者不明として描いた『贋作 時をかける少女』(その後『裏とり』『レア・マスターズ』に所収)より抜粋。

リ・アルティジャーニ第24回

「芸術新潮」5月号が発売されました。特集は日本の着物。ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』は第24回。ロイター電で人のいなくなったヴェネツィアの運河をクラゲが泳ぐ動画が配信されておりましたが、こちらは16世紀初頭のヴェネツィア。ベッリーニの工房にレオナルドが訪れます。

工房ではティツィアーノ・ヴェチェッリオとジョルジオーネが修行中。気持ちは手塚治虫先生を見る若きトキワ荘の新人......といったところでしょうか。

 

ちなみにこちらは連載第2回に登場したヴェロッキオ工房(フィレンツェ)の若きレオナルド。だいぶ歳とった。