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2017年5月23日火曜日

ロジャー・ムーア追悼

ロジャー・ムーアを知ったのはITC制作の『セイント 天国野郎』(65年日テレ)という義賊、かつ貴族的大泥棒の話で、ちょっとSF風味もあるシリーズでした。線画のオープニングアニメも印象に残っています。吹替担当は近藤洋介氏。ムーア主演のテレビシリーズはその前に『アイバンホー』(58年KRT、声は矢島正明氏)がありましたが、僕は未見。

その後、伝説のシリーズ『ダンディ2 華麗な冒険』(74年NET)でトニー・カーティスと組んで迷コンビぶりを発揮しますが、このときの吹替は佐々木功氏。セイントのイメージを引きずり英国貴族出身という設定で、吹替では「殿様」と呼ばれていました。また、佐々木氏の吹替もその上品さをうまく醸し出していました。

そして……3代目ジェームズ・ボンドとして登場したムーアの声を担当したのは『ダンディ2』で相方のトニー・カーティスの声を努めた広川太一郎氏でした。『セイント』の近藤洋介氏はのちにテレ朝でショーン・コネリーの声を担当していますし、コネリーはまた若山弦蔵氏の持ち役としておなじみですが、フジ版の『北海ハイジャック』ではムーアの声をその若山氏が担当するなど、007絡みで色々めぐりめぐっています。

余談ですがフジ版『北海ハイジャック』では、サッチャーがモデルの女性首相の声を土井たか子さんが担当しています。当時はサッチャーもおたかさんもブームでしたし、ワンポイントの登場でストーリーには絡まないので、これはまあテレビ版のお遊びとしては許容範囲でしょうか。政治信条的には真逆の二人だったのが面白いというか、ちょっとシャレも効いています。

初期007シリーズ演出担当の佐藤敏夫氏にお話をうかがったところ、007ではいつもの広川氏のお遊びを封じて徹底した二の線で通してもらったとのこと。しかしセーブしているがゆえに、ときおり放たれる洒落っ気十分のムーアお得意の捨て台詞的ジョークが、吹替でも最大の効果で生かされており、これまた広川氏の代表作のひとつとなりました。

以上吹替史の観点からのロジャー・ムーア追悼でした。

シネマトゥデイの訃報記事

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