そしてプリニウス一行はティルスに向かいます。
ティルスはかつて地中海各地、果てはアフリカまで進出していった海洋王国フェニキアの拠点でした。彼らが使う文字はアルファベットの原型にもなりました。
往時は要塞島の様相を呈していたティルスでしたが、アレキサンダー大王が築いた埋立の橋頭堡によって砂州が拡大し陸と繋がれました。フェニキア人の中心勢力も彼らの植民都市であったカルタゴへ移っていきますが、プリニウスの時代はどちらもローマ帝国の属州になっていました。シリアツブリガイから取れる貴重な、ゆえに高貴な身分用の紫の染料、そしてガラス製品の産地シドンのことをプリニウスは『博物誌』に記しています。
今回は11/9発売『プリニウス』第9巻収録の最後のエピソードとなりますが、物語のひとつの大きな要素がこの回でひとまずの決着を迎えます。作者にとっても感慨深い回になりました。
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