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2019年5月1日水曜日

改元

昭和最後の日は何をしていたかよく憶えていない、というツイートを幾つか見かけたが、私はよく憶えている。ビデオを録っていた。数日前から。

テレビ特番による慶賀同調圧力を批判する向きもあるが(私自身もへそ曲がりで作画資料やネタ探し以外にツッコミ目的で録画してる部分もあるので、その批判自体には同意)、今回と違い、崩御にともなう改元だった前回は歌舞音曲CMすら自粛モードだったので、あのときの一斉右へ倣え的な空気、そして空気だけでなくテレビ全体が実際にそうなってしまって閉塞感の強かった状況に比べれば、個人的には今回はまだ自由な雰囲気だと思った。まあ慶事と弔事の違いが大きいのだろうが、民放は通常番組もけっこうやっていたし、各局の特番もバラエティ的なノリ(だからよいというわけでもないのは後述)だったし、あのフジの皇室ドラマでさえ意外と踏み込んでいたし。

なにせ、あらためて録りためたビデオを眺めて思い出したが、80年代には「国鉄最後の日」ですら各局一日がかりの特番を組んでいたのであって、テレビのこういうお祭騒ぎ体質は今に始まったことではない。毎年やってくる年末年始でさえ飽きずにあれだけ特番を組む業界なのだ。いってみればテレビは改元だろうが他のイベントであろうが何でもいいのだ。賛否はともかく改元は数十年に一度の大きな国家行事には違いなく、それにしては民放は特番枠が少ないな、その特番もあまり面白くないし突っこんだ取材もないな、ひいてはテレビ業界も本当に衰弱してるのだな、というのが二つ前の元号から録画を続けてきた、特番好きの人間の正直な印象だった。

NHKはさすがに朝から晩まで平成や皇室関連の番組で編成されていたが、以前と違うのは今は「スタジオに人が多すぎる」のと「報道枠ですら下手な民放のバラエティ番組化してる」ということだろうか。あんたら見せる方法がバラエティしかないんかい、とはいっておきたい。呼ばれたゲストも慶事では結局無難な褒め事しかいわないのだし。スタジオ部分のない、映像の編集だけで見せる平成史や皇室の問題を掘り下げる番組をもっと見たかった。唯一NHKスペシャル「日本人と天皇」だけは見応えがあったが。

さて、前回はCM自粛期間があったがゆえに平成最初のCMが気になった。今みたいに全録機のない時代なのであくまで個人観測で正確な裏はとれていないが、私が改元後に最初に目にしたのは「風邪に改源」で、なんだか幻か悪い冗談のようだったのを覚えている。

今回はどの民放局もふつうにCMを挟みつつ改元を迎えたので、以前ほど注意していたわけではない。それでもフジとテレ東では「R-1」が令和最初のCMであったことは確認した。まあこれはだいぶ前から代理店絡みで周到に準備されたことなのだろう。なんにしても前回に引き続きダジャレでの幕開けとなったわけである。

ところで私のこれらのビデオテープ、死んだ後どこか引き取り手はあるんでしょうかね(ちなみにいちばん最初の事件事故録画ビデオのタイトルは「山口組vs一和会/84年」です)。

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