ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス 』第77話「ポンポニウス」がくらげバンチで無料公開になりました。恋に破れたプリニウスは入隊しゲルマニアの前線基地に。7月発売の第11巻収録の最後のエピソードになります。
ポンポニウスが口にしているトイトブルクの戦いは紀元9年にアルミニウスに率いられたゲルマン諸部族軍により当地のローマ軍が壊滅させられた戦いです。約半世紀後プリニウスも参加したケッティ族との戦いではこのときの捕虜がまだ生きていて解放され、この功でポンポニウスは凱旋将軍の栄誉を受けます。ポンポニウスは詩人としても名高く、プリニウスも彼の伝記を書くほど尊敬していた様子が『博物誌』や小プリニウスの記述からうかがえます。
この頃の馬はまだ小さく、鐙(あぶみ)もなかったので自在に扱えるローマ軍兵士はそう多くありませんでした。騎兵は属州出身者で構成され危険な側面支援に回りました。プリニウスが騎兵隊長に任命されたのは馬術家と伝えられる父親譲りの腕があったからでしょうか。
プリニウスのゲルマニア従軍は47年頃から約10年間と考えられていますが77話はこれを数日間のエピソードに凝縮。タキトゥスは伝55年"頃"生まれ。諸説あり確定していません。博物誌に「財務官タキトゥスの息子をゲルマニアで見た」とありこれを元に想像を膨らませて二人を会わせました。
タキトゥスはのちに『ゲルマニア』を著しますが、これは現存していないプリニウスの『ゲルマニア戦記』を元にしているといわれています。プリニー式噴火の命名の元になった、有名な小プリニウスによる伯父の派遣死の詳細な記述もタキトゥス宛の書簡に記されたものでした。
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