平成も終わりを迎えつつあるこの時代にあって、ほぼ孤軍奮闘で特撮関係のムックを出し続けている洋泉社より、またまたマニアックな図鑑が発売されました。5月11日刊の『別冊映画秘宝 オール東宝メカニック大図鑑』がそれで、とり・みきも「X星円盤」と「メカニコング」の解説を担当しています。
同主旨の本としては故川北紘一監督が監修した大判の『東宝特撮超兵器画報』(構成:岸川靖/大日本絵画 1993年)がありますが、そこから既に四半世紀が経っており、ほどよいタイミングの企画と言えましょう。
「X星円盤」は『怪獣大戦争』(1965年)に登場するX星人の円盤。まだUFOという言葉が知られてない頃の作品で(もちろん厳密にはUFOは未確認飛行物体の総称であり宇宙人の乗り物ではないのですけれども)宇宙人が乗っているのはたいがい「空飛ぶ円盤」か「葉巻型宇宙船」でした。
「メカニコング」は『キングコングの逆襲』(1967年)に登場するキングコングのバチモンロボット。当時はまだ今みたいな情報誌も、もちろんネットもなかったので、同時期に放映していた日米合作アニメと共通したキャラや地名の設定が子供ながらに不思議でしたが、米側プロデューサーが同じアーサー・ランキンだったんですね。アニメではボールヘッドのドクター・フーが天本英世さん演じる髪ふさふさのキャラで出てきたのも最初は違和感でしたが、これが東宝特撮の悪役ベストワンともいえる怪演。友人の出渕裕氏がよくモノマネをしていたものです。
この映画にはメカがたくさん出てくるのですが、実は最大のメカは最後にコングとメカニコングが戦う「東京タワー」のような気もします。コングは身長20メートルという設定なので、なにしろタワーのセットがでかい。しかも本物の鉄骨を溶接して作られているのでリアル感が半端ではない。
惜しむらくは本編の東京タワーセットの背景のホリゾントのシワや影が目立つのと、ブルーバック合成のエッジがちらちら腐り気味なこと(これは初見のときから既に気になってました。ヤな子供ですね……)。しかし、それを置いても、もう一匹の怪獣ゴロザウルスの造型はリアルだし、全体としてはエンタテインメントに徹して作られていて、とても好きな作品です。
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