訃報が続きます。みなもと太郎さんにはまだまだたくさんお話をうかがいたかったのに、マンガも読みたかったのに、残念です。とにかくマンガに関しては博覧強記の方でありました。
その分野が大好きなあまり、多く語りすぎてしまうマンガ家やミュージシャンがしばしば自作がおろそかになる(もしくは自己批評・自己言及の罠に落ちる、あるいは自分の言説にしばられて作れなくなる)という傾向が見られますが、みなもとさんはマンガも面白かった。
両方読んでいる方にはバレているだろうけど「マンガの手法やバックステージをもギャグにしてしまう」というあり方を教えてもらったのはみなもと太郎さんの作品でした。いや、大元は手塚治虫作品で空気のように学んでいたのだけれど、極めて意識的にそれを示してくれたのがみなもとさんの『ホモホモ7』だったのです。受けた影響は計り知れない。
1996年の「COMIC CUE」カバー・バージョン特集では、この『ホモホモ7』にチャレンジしたのですが、しかし元が既に劇画や映画のパロディ作品なので逆にむずかしかった。扉の猿は版権フリーの古いイラスト画集のコピーを一部使用していて手抜きみたいですが、実はこれもみなもとさんが世界名作シリーズなどで多用していたのを踏襲しているのです。
そしてこちらは2007年のみなもと太郎画業40周年記念本への寄稿。『お楽しみはこれもなのじゃ』のスタイルで、好きだった『むこうきずのチョンボ』のことを描(書)きました。いうまでもなく、これもまた元の作品が和田誠さん『お楽しみはこれからだ』のスタイルでマンガの模写をやるという二重三重のパロディになっていて、だから私のは曾孫パロディ。ちなみに角川書店版『お楽しみはこれもなのじゃ』の帯には「マンガ家デビュー直前、この連載は僕のバイブルだった」というコメントを書かせていただきました。
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