since2008. 2017年からはtorimiki.comにUPしたBLOG, NEW RELEASE & BAND情報を時間差で時系列順にアーカイヴしています

2020年1月27日月曜日

リ・アルティジャーニ第22回「それぞれの理想」


「芸術新潮」2月号発売。

ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』は第22回「それぞれの理想」。ヴェネツィアで油彩技法に試行錯誤するベッリーニに義兄マンテーニャは最新の銅板印刷絵画の可能性を説きます。

2020年1月26日日曜日

テレビブロス休刊

映画秘宝に続きテレビブロス休刊の報(既に番組欄のないテレビ誌という不思議なスタンスになっており、今後もWEB版は出るらしいですが)。

同誌では9コママンガ『遠くへいきたい』の連載を88年から2003年まで15年の長きにわたってやらせてもらいました。1ページの作品ですが、ある意味僕のマンガの核となるものです。

僕の場合「是非ともこれが描きたい!」という創作のパッションが小さいので、いつも逆算から連載の内容を決めることが多いのですが、この9コマというスタイルも番組欄の扉の掲載スペースがほぼ正方形だったことから決定されたものでした。それがいつのまにか自分にとってもっとも息の長いシリーズになろうとは(単行本商売にとってはおそろしく効率の悪い仕事ではありますが)

2020年1月23日木曜日

容赦のない人

ときどき「理数系ギャグ」という言葉で紹介されることがあるが、これは自分で名乗ったわけではない。メディアで初めて拙作をこの言葉で呼んだのはまついなつきである。

他者との相違点を簡潔に言い切り、一見褒め言葉のように見えて、しかし弱点もしっかり含まれているという意味で、この呼称は容赦なく批評的だ。そこも含めて、というか、であればこそ僕はこの形容を自分でも(主に自虐的な文脈で)たまに使用した。

こういう視点こそがまついなつきの真骨頂だった。最初の単行本が出た頃のまついの『プリニウス』評も的確で、自分の好みとは違う要素もはっきり提示しつつ、それでもこの作品の意図するところと作者二人の執筆時のスタンスや気持ちを正確に見抜いていた。「ヤマザキマリさんも、とり・みきさんもプリニウスだ」

面と向かっては2年に1度会うか会うないかという間柄だったが、80年代からのよき友人だった。彼女は「ねえさん」という名で皆から慕われていた。良きところも困ったところも常に包括的に人間を見ていたし、情熱の人ながらも他者のフィールドには安易に踏み込まない節度があった。めったに会わずとも自分が気づかないことまでなんでも見抜かれてる気がした。

おたくの集まりにありがちなだらだら居残るのが嫌いで、いつも真っ先に帰っていた。だから、つまり今回もそういうことなのだろう。めったにどころかもう会えなくなったけど、今後もなんでも見抜かれているのに違いない。容赦なく、優しく。



2020年1月22日水曜日

ガンマンの死

宍戸錠さんは一挙手一投足が絵になる本当にかっこいい映画スターだった。子供の頃、生まれ育った田舎では日活と東宝作品をかける小屋が同じで、自分は特撮作品やクレージーを、父親は日活……というか主に吉永小百合が目当てで通っていたのだが、むりやりその2社混在のプログラムで見ることができたのは今から思えば贅沢だったかもしれない(その小屋は小4の時に火事で全焼してしまった)。その後の色々な錠さんを見る前にとりあえず日活が初体験だったというのも、よかった。

映画的教養を言語で「語れる」人でもあった。一件強面っぽいのだが、TVで見る錠さんの話し言葉は丁寧で気遣いにあふれていた。高校の時に一週間ほど上京した際に「カリキュラマシーン」を日テレで見て「なんで田舎ではこんな面白い番組をネットしてくれていないのだ」と地団駄踏んだ(ゲバゲバは放送されていたのだが)。芸人ではないが優れたコメディアンでもあったと思う。『ハレンチ学園』や「スター・ウルフ」や『ブラックジャック/瞳の中の訪問者』などへの出演では「こっち側に偏見のない人だ」という想いを強くした。

吹替のお仕事も忘れてはならない。TVシリーズ『警部マクロード』のデニス・ウィーヴァーのお声がいちばん有名だが『戦略大作戦』のドナルド・サザーランドもよかった。ご本人も日活時代から意識していたというバート・ランカスターの吹替も何本か担当なさっている。

縁は異なもので、その後拙作原作のTVドラマ『クルクルくりん』では、くりんの父親を演じていただくことになった。今となってはありがたいが、当時はなんだか色々申し訳ない複雑な気持ちで観ていた。僕は拳銃を持つ宍戸錠が見たかったから。

その頃は尖っててドラマはマンガとは別物と思い、内容へのコミットも、出演者やスタッフと会うことも意識的にしなかったが、何年か前に矢作俊彦さんのパーティで初めてご挨拶がかなった。お話しできて嬉しかった。

90年代の初め頃、故 薩谷和夫美術監督のご紹介で、大林宣彦作品を題材にした尾道市のイラストの仕事をしたことがある。このとき僕が描いたのは当時大林組の常連だった3人のガンマン=宍戸錠、佐藤允、内藤陳(日活、東宝、ボードビリアンと出自は違うが)が登場する架空の映画だった。そういう依頼がなかなか来ないにもかかわらず錠さんと佐藤さんは常にその日のためのガンアクションの鍛錬を欠かさないでいる、と耳にしていたからだった。

2020年1月13日月曜日

1/17ヤマザキマリさんと語るルネサンス偏愛

「ヤマザキマリさんと語るルネサンス偏愛」

1/17(金)代官山ヒルサイドプラザホール
開場18:00/開演18:30
※入場無料 先着順(定員150名)
※当日16:30より代官山ヒルサイドフォーラム「夢の実現」展受付にて整理券配布


終了後追記:結局とりも登壇するはめに(そのつもりではなかったので頭は寝癖でアホ毛立ったまま)

2020年1月10日金曜日

プリニウス第64回「フワワ」がくらげバンチで公開


ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』第64話「フワワ」がくらげバンチにて無料公開されました。

プリニウス一行が旅するのはなんといまゴーン被告の逃亡先として話題のレバノン。現在の国旗にもなっているレバノン杉の森で危機が訪れます。

「水戸黄門」では稀に黄門様の杖による立ち回りが見られますが、この64話ではプリニウスが槍を手にしています。実は現存していませんがプリニウスには槍投げに関する著書があったと伝えられています。

森を守るフワワ(フンババ)のイメージは大英博物館蔵のフワワと伝えられる仮面を参考にしていますが、一筆書きの迷路みたいな表面造型はなんとなく縄文の土偶も彷彿とさせます。

2020年1月7日火曜日

プリニウス第65回「ガルバ」

「新潮」2月号発売されました。ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』は第65回「ガルバ」。ネロの放蕩ぶりに業を煮やし複数の勢力が不穏な動きを見せ始めます。今回登場はヒスパニア・タラコネンシス総督ガルバ。

ガルバが決起を呼びかける属州都タラコ=現タラゴナには今も円形劇場や二段式水道橋など古代ローマ時代の遺跡が数多く残っています。

ヤマザキさん描くネロの微妙な表情も絶好調。


そして年末にUPしたこの自撮りがこのように作画に活かされました。




2020年1月1日水曜日

あけましておめでとうございます


ヤマザキマリさんとの合作『プリニウス』も連載6年目に突入しました。今年も、そして今後とも、この作品をどうぞよろしくお願い致します。