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2015年9月21日月曜日

したコメ吹替講義終了

学園祭っぽい
したコメ吹替講義にお越しくださいました皆様、あらためてどうもありがとうございました。半年がかりのイベントでしたのでやっと肩の荷がおりた感じ です。…というほど実は僕はたいしたことはしてないのですけど、声のエキスパートの人たちや音声制作スタッフの方々に助けられた企画でした。

シネコン時代の現在、テレビ地上波での吹替番組は減り、劇場公開の吹替版は逆に増えています。しかし後者は映画会社が関与するオフィシャル版ですから、ちょっとお行儀がよすぎてかつてのテレビ吹替のような自由度にかけるきらいがあります。

もちろん、映画会社の立場としてはそれは至極当然なことで、その意義を否定するものではありません。ただ、意訳の面白さや、声優さんが得意としていた一種の吹替芸のようなものを耳にする機会が最近は減ってしまい、そのことを僕などは残念に思っていたのです。

オフィシャルな吹替を尊重しつつも、そういうものも聴きたい。今回の吹替版はそんな想いからスタートしています。併せてトークショーでは、日本における吹替のおおまかな歴史も解説できたら、と思っていました。

当日は御大・羽佐間道夫さんにご登壇いただけて本当によかった。吹替放送史とともに歩んでこられた大ベテランのお言葉は、爆笑しつつ、観客の皆様には貴重な証言だったと思います。

安原義人さん、大塚明夫さん、多田野曜平さん、園崎未恵さん、森洋子さんにもあらためて感謝致します。意図したわけではなかったのですがベテランから吹替経験二度目(森さん)までちょうどよいバランスになっていて、各お立場でのお話がうかがえたのがよかったと思っています。当日はご登壇いただけなかった他の声の出演者の皆さんも、お疲れ様でした。

当日のリポート記事は以下に
9/20(日)したコメにて、「とり・みきの吹替“凄ワザ”講義」が開催、『スサミ・ストリート全員集合 ~または”パペット・フィクション”ともいう~』が上映されました!

2015年9月19日土曜日

プリニウス第3巻刊行記念トーク

9月19日、日本マンガ塾《飯田うさ爺のトークライブ》にて、共作者のヤマザキマリさんと『プリニウス』第3巻刊行記念トークを行ってまいりました。マンガ塾での話ということで、とくに合作の具体的方法について実例データなどを見せながら解説しましたが、マンガの「背景」についても、三者間でけっこう奥深い話が出来た気がします。

せっかくですから会場で語ったことをブログでもちょっとメモ書きしておこうと思います。

マンガには緻密な背景などなくても、簡単な線で、その物語世界を雄弁に伝えてくれる作品がいくらもあります。

また、ある程度背景が入っているマンガでも、主人公が中心となって物語を切り開いていくマンガの場合、背景がそのシーンの舞台説明以上の任を越えた自己主張をしすぎると、確かに読みづらくなる場合があります。わかりやすさやマンガのスピード感を維持するには、適度な、ときには思い切った背景の省略も必要になります。

しかし、すべてのマンガがそういうキャラ寄りの方法論で描かれているわけではありません。背景がキャラと等価、ときには背景の表現そのものが物語を「語る」作品もあるのです。司会進行の飯田耕一郎さんがその例として準備されてきたのは、つげ義春や宮谷一彦や大友克洋の作品でしたが、僕もまったく同じことを考えていました。

彼らはマンガにおける背景の意味を大きく拡げてきた先達です。個人的にはそれらを「読みづらい」と思ったことはありませんでしたし、むしろ背景もまた「演技」するのだ、と感銘を受けたものです。そしていまもそういうタイプの作品はあると思います。キャラの邪魔にならない背景を心がける場合もあれば、あえて人物を風景の中に埋没させたい作品もあるのです。

『プリニウス』 の場合は、登場人物の行動や見た眼を通して、読者もまた2000年前の古代ローマを旅しているかのように思ってほしくて描いている作品です。つまり、ここでは背景もまた主人公の一人なのです(なので、キャラ中心に物語が展開していくマンガを期待する向きには、少々読み方にとまどう方も出てきてしまうかもしれません)そういう意図を踏まえて背景の描線も決定していますし、省略も極力しないようにしているのです。

そもそも実際に描いている作者二人には、どちらが主でどちらが従という考え方は元々ありません。お互いがお互いの絵や役割に敬意を持って描いています。 

そして単行本も3巻目を数えた現在は、もはやキャラと背景を分離して捉える考え方すら、我々にはあまりありません。実際、担当する作画もクロスオーバーしていますし、融合度も進んでいると思います。

よくよく考えれば、キャラと背景を必要以上に分離する考え方は、プロダクション制になって、先生はキャラだけ、背景はアシスタント……というような制作体制があたりまえになってから大きくなった視点のような気がします。全部を一人で描いている時代は、キャラも風景もひとまとめにしての絵の魅力がもう少し語られていたような……。

我々は二人で分担して描いてはいるのですが、マンガのあり方としては、一人の作家が総ての絵を描いていた時代のマンガを念頭に、それに少しでも近づけたら、と思って作業しています。

ですので(読者の感想は自由で、何がダメ何が正解というのは一切ありませんが)作者としてはキャラはどう、背景はどう……という分離した書き方よりは「『プリニウス』 の絵」「一体化したとりマリの絵」あるいは「二人で一緒に造り上げている世界観」に対する感想をいただけると、より嬉しく思います。

関連リンク

飯田うさ爺のトークライブ『プリニウス』第3巻刊行記念トーク 

とり・みき先生&ヤマザキマリ先生『プリニウス』第三巻刊行記念トークライブ

2015年9月18日金曜日

プリニウス第22回

「新潮45」10月号発売中です。『プリニウス』第3巻の続きが早く読みたい方は、22話が冒頭4ページカラーにて掲載されております。

2015年9月17日木曜日

したコメで「とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義」

したまちコメディ映画祭「とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義」
9/20(日)14:30〜@上野・東京国立博物館 平成館出演:羽佐間道夫、大塚明夫、安原義人、多田野曜平、園崎未恵、森洋子
講師:とり・みき

講師とはおこがましいですが、吹替版制作に少しかかわりました映画『スサミ・ストリート全員集合 ~または"パペット・フィクション"ともいう~』を観ながら、豪華なゲストの皆さんと、吹替えの創世から歩み〜現状までをアカデミックにかつ楽しく語ります。しかしこの写真は誰だ、という顔で写ってますな……。

※キャパが大きいので当日券(1,800円)も余裕を持ってございます。東京国立博物館正門前特設販売所にて13:30~15:00のみの販売となります。詳しくはしたコメ公式チケットページを。

2015年9月15日火曜日

寺田克也展と江口寿史展


中野の寺田克也展へ。「コレをライヴで&マッキーで描いたのか」と呆れ、続けて吉祥寺の江口寿史「キングオブポップ(予告編)展」へ。80年代の生原稿を見て いまさらながらベタの使い方が巧いなあと感心。江口さんが在廊していたのでフライングで売っていたKING OF POPを買ってサインをしてもらって帰ってきました。巧い人の絵を見るのはやはり色々勉強や刺激になります。

2015年9月9日水曜日

2015年9月7日月曜日

プリニウス第3巻発売記念原画展

9月7日(月)から10月17日(土)まで
三省堂書店 カルチャーステーション千葉店
〒260-0015 千葉市中央区富士見2-3-1 塚本大千葉ビル4F

『プリニウス』原画展(3巻目の原画含む)を開催していただいております。


プリニウスの原画は最終的にはパソコン上でヤマザキさんの画と僕の画をレイヤー合成させたものであり、デジタルデータとしてしか存在してないのですが、今回は一部ヤマザキさんの素材画・僕の素材画・最終完成ページのプリントアウト、と分けて展示したりしていますので、見ると結構面白いと思います。お近くの皆様はぜひ。

2015年9月4日金曜日

アニマル大集合

オマケの一角獣
手元に『プリニウス』3巻目が届きました。

今回はアニマル大集合の感。登場する動物は冒頭から、猫、スカラベ、一角獣、アンフィスバエナ、マンティコーラース、象、タツノオトシゴ、大ダコ、ダイオウイカ、深海魚、ネズミ、ヒツジ、鳥の大群……